IT基盤の構築に欠かせないインフラエンジニアは非常に需要が高いため、活躍するとかなりの高報酬を稼げます。厚生労働省の職業情報提供サイトjobtag(日本版O-NE)によると、インフラエンジニアの年収は約660万円です。国税庁の民間給与実態統計調査によれば、労働者全体の平均年収が約440万円のため一般的なサラリーマンより約200万円高い水準となっています。
ただし年代別で年収には開きがあるうえ、収入を増やすにはそれなりのステップが求められますし、身につけるべきスキルもあります。
というのも、インフラエンジニアが担う役割は広範囲にわたり、どのレベルまで網羅できるかによって会社やクライアントからの評価が大きく異なるからです。
本記事では、インフラエンジニアの年代別年収、年収をアップさせる方法や必要なスキルについて詳しく解説します。
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インフラエンジニアの年収が高い理由
最初に、インフラエンジニアの年収が高い理由について解説しましょう。
具体的には以下の2点が挙げられます。
- 高い専門的なスキルが求められる
- 厳しい労働環境
- デジタルトランスフォーメーション(DX)による需要増大
高い専門的なスキルが求められる
インフラエンジニアの仕事は、システムの正常稼動を維持するための高度な専門知識とスキルが求められます。エラーやトラブルが発生すると、その影響は企業全体に及ぶため、一つのミスが重大な結果を招くことがあります。そのため、インフラエンジニアには大きな責任が伴います。
また、一言にインフラエンジニアといっても詳しくは以下の5種類に分類できます。
- サーバーエンジニア
- ネットワークエンジニア
- データベースエンジニア
- クラウドエンジニア
- セキュリティエンジニア
いずれもシステムの設計から構築、運用、保守までを担当しますが、担当領域によって業務内容にかなりの違いがあるうえ、高い専門性が求められます。
サーバーエンジニアなら、Webサーバーやメールサーバーなど、サービスの心臓部となるサーバーが最大のパフォーマンスを発揮できるように環境構築しなければなりません。セキュリティエンジニアは、増加と高度化の一途をたどるサイバー攻撃に耐えうるITシステムの構築が必須課題となります。
このように、ITの根幹をなす重要度の高いシステムの構築には、官民を問わず相当額の予算が注ぎ込まれるため、スキルの高いインフラエンジニアの年収は高額になるのです。
厳しい労働環境
インフラエンジニアの仕事は過酷になることもあり、その特殊な労働環境が高い年収の一因となっています。具体的な理由は以下の通りです:
昼夜を問わず緊急対応が必要
インフラエンジニアは、システムの安定稼動を保つために、昼夜を問わず緊急対応を求められることが多いです。システムのダウンタイムを最小限に抑えるため、夜間や休日でも対応が必要となることがあります。
残業と休日出勤の多さ
緊急対応だけでなく、定期的なメンテナンスやシステムアップデートなど、通常業務以外の作業も多いため、残業や休日出勤が頻繁に発生します。特に、大規模なシステム変更やトラブル対応の際には、長時間労働が避けられません。
デジタルトランスフォーメーション(DX)による需要増大
もう一つの要因は、DXによる需要の急増です。日本国内ではIT化の遅れが深刻でした。しかし、近年では急速にDXが進んでおり、それに伴ってインフラエンジニアの需要も急増しています。
大企業だけでなく、中小企業も競争力を維持・向上させるためにITインフラの整備を進めています。しかし、中小企業は大企業に比べてIT人材が不足していることが多く、これがインフラエンジニアの高い需要と高収入に繋がっています。
インフラエンジニアの年代別年収
続いてインフラエンジニアの年代別年収を紹介しましょう。
20代
20代のインフラエンジニアの平均年収は、約390〜430万円前後となっています。インフラエンジニアとしてはまだキャリアが浅く、要件定義を経てクライアントの求めるシステムを設計・構築するというより保守業務が多いため、年収が平均よりは低くなります。
それでも20代後半になると400万円超も珍しくないため、一般と比べるとかなり高額といえるでしょう。
30代
30代のインフラエンジニアの平均年収は約450〜550万円前後です。30代になるとインフラエンジニアとしては中堅に位置するようになります。
保守よりも設計や構築がメインとなったり、中にはプロジェクトリーダーを任されるケースも出てきます。そのような場合は、500万円超の年収も期待できるでしょう。
40代
40代では、平均年収が550〜660万円前後になります。キャリアとしては40代でピークを迎える人も多いです。
さまざまな経験を経るなかでプロジェクトマネージャーとして大規模なシステム開発を任され、確実に成果を出せれば年収700万円レベルも夢ではありません。
50代
50代の平均年収も40代とほぼ変わりがありません。実績やスキルによって差が生まれ、高い場合は700〜800万円もあり得るでしょう。
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インフラエンジニアの年収をアップさせる6つの方法
ここからは、インフラエンジニアの年収をアップさせる方法について具体的に解説します。
- 大企業に転職する
- 外資系企業に転職する
- プロジェクトマネージャーになる
- フリーランスで独立する
- 副業を行う
- 資格を取得する
大企業に転職する
大企業への転職は、インフラエンジニアとしての年収を大幅にアップさせるための有効な手段です。とくに20〜40代にかけてはその傾向が強いと考えてよいでしょう。
大手ベンダー企業は大規模かつ高予算の案件を多く受注しており、その収益性の高さが給与やボーナスに反映されます。利益率も高いので、その分インフラエンジニアへの支給額が高くなります。ボーナスやそれ以外の臨時手当、充実した福利厚生が期待でき、これらが総収入を大幅に引き上げる要因となります。
こちらの記事でインフラエンジニアの賢い転職方法について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
外資系企業に転職する
外資系IT企業はエンジニアに対する待遇が非常に良いことで知られています。これらの企業はキャリア採用やジョブ型採用枠を多く設けており、優れたスキルや豊富な経験を持つエンジニアには大幅な年収アップのチャンスがあります。
ただし、外資系企業では成果主義が徹底しており、成果が上がらなければ給与のダウンやレイオフ(解雇)も現実のものとなるため、常に高いパフォーマンスを維持する覚悟が求められます。
プロジェクトマネージャーになる
社内でプロジェクトマネージャー(PM)に昇進することも年収アップの有力な手段です。PMはプロジェクト全体の管理責任を担うため、豊富な経験と高い専門知識が求められます。
通常、PMになるには10年以上のキャリアが必要であり、現場経験やリーダーシップ、問題解決能力が不可欠です。PMの役割は重大であり、その責任に見合った高い報酬が期待されます。
フリーランスとして独立する
フリーランスのインフラエンジニアとして独立することも高収入を得る方法の一つです。フリーランスは企業と直接契約を結び、案件ごとに報酬を受け取るため、契約金額がそのまま収入となります。
高い実力と豊富なキャリアが求められますが、成功すれば年収1,000万円以上も可能です。フリーランスとして成功するためには、自身のスキルを市場価値に転換する能力が重要です。
こちらの記事でインフラエンジニアの転職市場状況について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
副業を行う
企業の規定で許される場合、副業も有効な収入源となります。副業を通じて副収入を得るだけでなく、新たなスキルや経験を積むことができ、キャリアアップにも繋がります。
さらに、副業を通じて築かれる新たな人脈は、将来のキャリアにおいて貴重な資産となります。
こちらの記事でインフラエンジニアが副業で稼ぐ方法について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
資格を取得する
インフラエンジニアは、特定の資格がなければなれない職種ではありません。インフラエンジニアとしての専門性を高めるために、資格取得も重要です。
資格はスキルを客観的に証明する手段であり、転職市場での競争力を高めることができます。また、社内でも特定のポジションにアサインされる際に有利となり、結果的に年収アップに繋がることが多いです。具体的な資格としては、ネットワークスペシャリストや情報セキュリティスペシャリストなどが挙げられます。
こちらの記事でインフラエンジニアにおすすめの資格、自分に必要な資格の見極め方について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
インフラエンジニアの年収をアップさせるスキル
インフラエンジニアが年収をアップさせるのに役立つスキルについて解説しましょう。
- クラウドに関するスキル
- 仮想マシンに関するスキル
- サイバーセキュリティに関するスキル
- コミュニケーションスキル
クラウドに関するスキル
近年では、サーバーを自社で運用するのではなくクラウドに依存したCloud as a serviceが主流となってきています。そのためインフラエンジニアでのクラウドに関する深い知見とスキルがあると非常に重宝されます。
とりわけASWやMicrosoft Azure、Google Cloudを使った開発案件は非常に豊富なため、精通していると高評価、高報酬へのチャンスが広がるでしょう。
AWS(Amazon Web Services)
AWSは、クラウドサービス市場で最もシェアの大きいプラットフォームです。AWSを活用したインフラ設計・運用スキルを持つエンジニアは、企業から非常に高く評価されます。
AWS認定資格(AWS Certified Solutions Architectなど)を取得することで、スキルの証明が可能です。
Microsoft Azure
Microsoft Azureは、企業向けクラウドサービスとして非常に人気があります。Azureを利用したネットワーク構築やリソース管理のスキルは、特に企業の大規模プロジェクトにおいて重宝されます。
Azure認定資格(Microsoft Certified: Azure Administratorなど)も取得を目指すべきです。
Google Cloud Platform(GCP)
GCPは、特にデータ解析や機械学習といった先進的な技術分野で強みを持つクラウドプラットフォームです。GCPを活用したインフラ構築スキルは、技術的な先進性を求める企業にとって大きな魅力となります。
GCP認定資格(Google Cloud Certified – Professional Cloud Architectなど)も推奨されます。
仮想マシンに関するスキル
最近では、可用性の向上やコストメリットを理由に、基幹システムをオンプレミスではなく仮想マシンでリニューアルする例が増えています。仮想マシン(VM)技術の進化は、ITインフラの可用性とコスト効率を劇的に向上させました。仮想マシンに関するスキルを持つことは、インフラエンジニアにとって大きなアドバンテージとなります。
仮想マシンは、短時間での復旧が可能なので近年頻発している災害への備えになるうえ、処理が高速化できるため混雑時の課題解消にも寄与します。また、物理サーバーに比べてコスト効率が高く、リソースの最適化が可能です。
官民問わず仮想マシン関連の業務は豊富にあるので、対応できれば収入アップにつながるでしょう。
サイバーセキュリティに関するスキル
今やインフラエンジニアには、高いサーバーセキュリティスキルが必須と言っても過言ではありません。サイバー被害は深刻さを増す一方のため、多くの企業や自治体がセキュアなインフラ構築に注力しています。
そのため、サイバーセキュリティのスキルに長けていると、活躍できる機会が大幅に増えるでしょう。
コミュニケーションスキル
インフラエンジニアとして高い地位で活躍するには、コミュニケーションスキルも大切です。と言っても、誰とでも友達になれるような能力を指しているわけではありません。クライアントの要望を余すところなく聞き取る傾聴力と、提案するシステムの妥当性を伝える力や説得力が求められます。
また、プロジェクトマネージャーになると、個性や特性の異なるエンジニアをまとめ、プロジェクトを成功に導く手腕が問われるでしょう。海外のクライアントやエンジニアと仕事をする可能性もあるため、語学力があるとさらに活躍のチャンスが広がるかもしれません。
エンジニアから信頼されるとチームがまとまり、実力以上の仕事ぶりで期待を上回る成果につながるケースもあります。それによって評価が高まると、年収にも確実に反映されるでしょう。
インフラエンジニアの年収でよくある質問まとめ
- なぜインフラエンジニアの年収は高いのですか?
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インフラエンジニアの年収が高い理由は主に次の三つです:
- 高い専門的なスキル:システムの正常稼動を維持するためには、高度な専門知識とスキルが求められます。一つのミスが企業全体に大きな影響を与えるため、大きな責任が伴います。
- 厳しい労働環境:インフラエンジニアは昼夜を問わず緊急対応が必要で、残業や休日出勤も多いです。特に大規模なシステム変更やトラブル対応の際には、長時間労働が避けられません。
- デジタルトランスフォーメーション(DX)による需要増大:DXの進展に伴い、インフラエンジニアの需要が急増しています。企業のITインフラの整備が進む中、特に中小企業ではIT人材が不足しているため、高収入が期待されます。
- インフラエンジニアが年収をアップさせる方法は?
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インフラエンジニアが年収をアップさせるための具体的な方法は以下の通りです:
- 大企業に転職する:大企業では高予算の案件が多く、収益性が高いため給与やボーナスも高くなります。充実した福利厚生も期待できます。
- 外資系企業に転職する:外資系企業はエンジニアへの待遇が非常に良いです。高いスキルと豊富な経験があれば大幅な年収アップが期待できます。
- プロジェクトマネージャーになる:プロジェクト全体を管理する役割を担うことで、豊富な経験と専門知識を活かして高収入を得ることができます。
- フリーランスとして独立する:企業と直接契約を結び、案件ごとに報酬を得ることで高収入を目指せます。年収1,000万円以上も可能です。
- 副業を行う:企業の規定で許される場合、副業で副収入を得ることができます。新たなスキルや経験を積むことでキャリアアップにも繋がります。
- 資格を取得する:資格はスキルを客観的に証明する手段であり、転職市場での競争力を高めることができます。社内でも特定のポジションにアサインされやすくなり、年収アップに繋がります。
まとめ
インフラエンジニアには高いニーズがある割に人手不足のため、これからも高い年収が期待できるでしょう。
ただしそのためには、現場で実績を積み、必要なスキルを確実に身につけなければなりません。サーバーやデータベース、クラウド、セキュリティなど、インフラエンジニアに求められる知識は非常に幅広いです。その中で得意分野に磨きをかければ、活躍の場も広がるに違いありません。
すでにインフラエンジニアとして働いている方も、これから転職しようとお考えの方も、将来に備え年収が確実に増えるキャリアアップに努められてはいかがでしょうか。
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