インフラエンジニアには資格がないとなれないのでしょうか?そんなことはありません。
こちらの記事でインフラエンジニアの仕事内容、将来性について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
しかし、インフラエンジニアは高い専門性が求められるため、成功するためには知識とスキルが必要になります。その意味では、インフラエンジニアが取得しておくと有利な資格が数多く存在します。
本記事では、初級と中級・上級に分けてインフラエンジニアにおすすめの資格を紹介します。自分に必要な資格の見極め方についても解説するので、これからインフラエンジニアを目指す方や、すでにインフラエンジニアとして働いている方も、ぜひ参考にしてください。
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インフラエンジニアに資格がおすすめの理由
冒頭にも述べたように特定の資格がなくてもインフラエンジニアになることは可能です。しかし実際には、資格を取得した方が有利だったり、メリットを感じたりするケースが確実に多いです。
ちなみに、インフラエンジニアとは以下の複数のエンジニアの総称です。
- サーバーエンジニア
- ネットワークエンジニア
- データベースエンジニア
- クラウドエンジニア
- セキュリティエンジニア
上記のいずれか、または複数に特化し、専門性を武器に仕事をするのが一般的です。そのため必要な資格に的を絞って勉強すると理想の将来像により早く近づけるのは間違いないでしょう。
インフラエンジニアに資格がおすすめの理由について、以下でさらに掘り下げましょう。
基礎から必要知識が習得できる
大学や大学院の履修内容には、インフラエンジニアの仕事に役立つものが数多く存在します。しかし実務を含めてすべてが網羅できるわけではありません。
その点、資格はそれぞれに出題テーマが決められているため、的を絞って基礎から実用的な知識をしっかりと習得できます。また世界的に知名度の高いITベンダーが主催している資格も複数あり、それらを学ぶことでその業者の製品やシステムを実践的に使えるようになるので、インフラエンジニアとしてのキャリアを確実にサポートしてくれるでしょう。
転職の際のスキル証明になる
資格があると、自分のスキルを客観的に証明することができます。企業の採用担当は学歴も重視しますが、それ以上にどのような資格をもっているかに注目することが多いです。とくに転職の場合は、その傾向が強いといえるでしょう。
こちらの記事でインフラエンジニアの転職事情について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
また、会社内でも取得している資格によっては質の高いプロジェクトにアサインされることもあるので、やり甲斐が持てるのはもちろん、昇給や昇格にも関わってくるでしょう。
キャリアアップの目安になる
インフラエンジニアにおすすめの資格は、初級者向けから上級者向けまでさまざまなレベルのものが存在します。そのため、資格のテーマや難易度を理解し、目的を明確にしながら取得していくとキャリアアップの目安になるでしょう。
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自分に必要な資格の見極め方
インフラエンジニアにおすすめの資格は、かなりの数に上ります。そのすべてを取得する必要はありませんが、どの勉強を選択するべきか迷ってしまうかもしれません。そこで自分に必要な資格の見極め方について解説しましょう。
学びたいジャンルから絞る
インフラエンジニアに求められるスキルや知識は広範囲に及びます。その中からどの分野で専門性を磨いていきたいかを決め、それに沿った勉強ができる資格を取得するのがよいでしょう。
自分が好きで興味のあるものは、勉強していて楽しいですし、モチベーションにも繋がります。取得できると達成感も得られるので、さらに勉強意欲が湧きやすくなるでしょう。
自分の知識レベルから絞る
インフラエンジニア向けの資格は、かなり難易度が高いものが少なくありません。そのため自分の知識レベルに合ったものから勉強していかないと、途中で挫折するリスクがあります。
長い目で見れば、高望みするより手の届くレベルから地道に積み上げていく方がプラスになるでしょう。
キャリアアップの目標から絞る
自身が将来的にどのようなキャリアアップをしていきたいかという目標から逆算して資格を絞っていくのもおすすめです。何のために勉強しているのかよくわからないというより自分の中で一貫したテーマがあり、一つずつステップアップしていくイメージをもてる方が勉強にも身が入るでしょう。
初級のインフラエンジニア向けのおすすめ資格
システムの設計、構築、運用など、インフラに関わる様々な業務を円滑に進めていくためには、ITの基礎知識から専門的な技術まで幅広く身につけておく必要があります。
それではここから、初級のインフラエンジニア、またはこれからインフラエンジニアを目指す方におすすめの資格を5つに分けて紹介していきましょう。
ITパスポート
ITパスポートは、IT業界で働く上で必要な基礎知識を問う国家資格です。すべてのITエンジニアの初学にうってつけの内容ばかりですが、情報システム、ネットワーク、データベースなどインフラエンジニアにとっても将来的に必要な基本知識が網羅されているので、他の資格への足がかりとしておすすめです。
難易度は高くありませんが、国家資格で知名度が非常に高いので、取得しておいて損はないでしょう。
基本情報技術者試験・応用情報技術者試験
ITパスポートの次のステップとしておすすめなのが、IT人材の登竜門ともいわれる基本情報技術者試験です。レベルとしては、上位者の指導のもと、IT製品やシステムの開発業務が行えるというもので、技術系、マネジメント系、経営戦略系の3分野についての基本的な知識が問われる国家試験です。インフラエンジニアとして、システムの設計や構築に携わるためには、基本情報技術者試験レベルの知識が求められるでしょう。
難易度レベル2にあたる基本情報技術者試験に対して、上記の同じ3分野についてさらに踏み込んだ内容が問われるのが、レベル3の応用情報技術者試験です。基本情報技術者試験の合格率が40%強であるのに対し、こちらは20%強とかなり難しくなります。
応用情報技術者試験に合格するレベルになると、プロジェクトマネージャーの下でシステム開発業務をサポートできる実力があるといえます。インフラエンジニアとしても、より上流工程に携われるようになるため、中級以上のスキルを求められる場面で役立つ資格といえるでしょう。
CCNA
米国の世界最大のコンピューターネットワーク機器の開発・販売会社であるシスコシステムズ(通称シスコ)が主催する民間資格です。ネットワークの基礎知識からシスコ製品の設定・トラブルシューティングまで、実践的なスキルを習得できるので、クラウドエンジニアやネットワークエンジニアを目指す方にはおすすめです。
シスコ技術者認定資格は5つのグレードに分かれており、
- エントリー
- アソシエイト
- プロフェッショナル
- エキスパート
- アーキテクト
CCNAは下から2番目ですが、合格率は20〜30%のため決して易しくはありません。取得できるとシスコ製品にある程度精通できるので、即戦力として活躍の場が広がるでしょう。
クラウド環境の普及により、ネットワークの設計・構築・運用のスキルを持つエンジニアの需要は高まっています。CCNAは、ネットワークエンジニアだけでなく、クラウドインフラを扱うエンジニアにとっても重要な資格の一つです。シスコ製品の設定の経験は、他社製品を扱う場合にも応用できる汎用的なスキルといえます。
LunuC レベル1・2
LunuCは、日本国内向けに作られたLinux技術者認定試験の一つです。日本国内のLinux技術者の間で広く認知されています。レベル1からレベル3までの3つの等級があり、インフラエンジニアを目指す方にとって、特にレベル1とレベル2の取得がおすすめです。
レベル1は、Linuxサーバーの構築と運用に必要な基礎知識を問う試験です。Linuxのコマンドラインインターフェース(CLI)の操作やシェルスクリプトの記述、システムの運用管理など、実務で必要となる知識とスキルが身につきます。比較的取得しやすい資格といえます。
レベル2は、レベル1の知識を前提に、より実践的なLinuxシステムの設定・構築・トラブルシューティングのスキルを問う試験です。ネットワークやセキュリティ、サービスの設定など、システム管理者レベルの知識が求められます。
クラウドの普及により、Linuxサーバーの運用・管理のスキルを持つエンジニアの需要は高まっています。LinuCレベル1・2の取得は、Linuxシステムに精通したエンジニアとしての実力を証明し、キャリアアップにつながるでしょう。
AWS認定 FOUNDATION・ASSOCIATE
AWS認定 ファウンデーションは、AWSのクラウドサービスに関する基礎知識を問う試験です。クラウドコンピューティングの普及に伴い、AWSをはじめとするクラウドサービスの知識とスキルを持つエンジニアの需要が高まっています。
AWSの主要なサービスの特徴や利用方法、クラウドの基本概念などが出題範囲となります。AWSでは、エンジニアの技術レベルに応じた4つの認定資格が用意されており、インフラエンジニアにとって特に重要なのが、FOUNDATION(ファウンデーション)とASSOCIATE(アソシエイト)の2つです。
下から2番目のグレードが「ASSOCIATE」ですが、こちらはAWSのプロフェッショナルレベルの知識とスキルが問われるためクラウドやオンプレミスでの豊富な経験があることが望ましいとされています。ソリューションアーキテクト、デベロッパー、SysOpsアドミニストレーターの3つの領域で認定が行われます。難易度は高くなります。
中級〜上級のインフラエンジニア向けおすすめ資格
続いては、中級〜上級のインフラエンジニア向けの資格です。
CCNP(Cisco Certified Network Professional)
CCNPは上記で紹介したシスコ技術者認定試験の上から3番目のプロフェッショナルグレードにあたります。すでにシスコ機器のネットワークを構築・運用している実績をもち、プロジェクトマネージャーを目指すエンジニアにおすすめです。
CCNPは、5種類から構成されており、それぞれ個別に受験することが可能です。
- CCNP Enterprise:大規模な企業ネットワークの設計・構築・運用に関する知識とスキルを認定
- CCNP Security:ネットワークセキュリティの脅威分析や対策、セキュリティ製品の導入・運用に関する知識とスキルを認定
- CCNP Data Center:データセンターの設計・構築・運用に関する知識とスキルを認定
- CCNP Service Provider:通信事業者向けのネットワークソリューションの設計・構築・運用に関する知識とスキルを認定
- CCNP Collaboration:統合コミュニケーションシステムの設計・構築・運用に関する知識とスキルを認定
コアエンタープライズネットワークやセキュリティ、クラウド、大規模インフラなど、いずれもインフラエンジニアに必要な高レベルの知識とスキルの習得が可能になります。
合格率は10〜20%と難易度は上がりますが、取得できるとネットワークエンジニアとしての市場価値は大きく上昇します。実際に、CCNPの取得によって年収が数百万円単位で上昇したという事例もあります。
インフラエンジニアとして、ネットワークの設計・構築・運用のスキルを極めたい方、プロジェクトマネージャーを目指している方にとって、CCNPは目指すべき資格の一つといえるでしょう。
CCIE(Cisco Certified Internetwork Expert)
シスコ技術者認定資格の最上位に位置し、合格率は10%強のため、さらに難易度はアップします。こちらは以下6種類から構成されています。
- CCIE Enterprise Infrastructure:大規模な企業ネットワークのインフラ設計・構築・運用に関する専門知識を認定
- CCIE Enterprise Wireless:大規模な無線ネットワークの設計・構築・運用に関する専門知識を認定
- CCIE Security:ネットワークセキュリティの高度な脅威分析や対策、セキュリティアーキテクチャの設計・構築・運用に関する専門知識を認定
- CCIE Service Provider:大規模な通信事業者ネットワークの設計・構築・運用に関する専門知識を認定
- CCIE Data Center:大規模なデータセンターの設計・構築・運用に関する専門知識を認定
- CCIE Collaboration:大規模な統合コミュニケーションシステムの設計・構築・運用に関する専門知識を認定
CCIEの認定を取得するには、筆記試験と8時間におよぶラボ試験(実技試験)の両方に合格する必要があります。
英語試験に加えて8時間におよぶ実技試験があり、7年以上の実務経験があることが望ましいとされています。取得できれば年収1,000万円超も期待できるほどのネットワークエキスパートになれます。
CCIEの取得は長期間の学習と実務経験の積み重ねが必要であり、多大な努力が求められます。CCNPなどの下位資格を着実にクリアし、ネットワークエンジニアとしてのスキルを磨くことが重要でしょう。
データベーススペシャリスト
データベーススペシャリストは、データベースを高いレベルで開発・管理できる知識や即戦力を養う試験で、国家資格の中でも最難関のレベル4に相当します。ビッグデータやAIの普及に伴い、大規模なデータベースシステムを扱えるエンジニアの需要は高まっています。インフラエンジニアとして、データベースの分野で専門性を高め、キャリアアップを目指すならば、データベーススペシャリストは目指すべき資格の一つといえるでしょう。
試験範囲は、データベース設計、データベース管理、データウェアハウス、ビッグデータ、データマイニングなど多岐にわたります。
合格率は13〜18%前後で、パスするには実践経験に基づく深い知識が求められます。データベーススペシャリストは、単なるデータベース管理者(DBA)ではなく、データベースシステムの設計・構築から運用・管理までを一貫して担える高度な人材を認定する資格です。
データベースエンジニアとして開発チームをまとめたり部下を指導したりできるレベルのため、データベースのフィールドでキャリアアップしていきたい方には強くおすすめします。
ネットワークスペシャリスト
ネットワークスペシャリストは、高度なネットワークシステムの設計・構築・運用・管理に関する専門知識とスキルを認定する国家資格です。試験範囲は、ネットワーク設計、ネットワークセキュリティ、ネットワーク運用管理、ネットワークサービス、IoTなど多岐にわたります。
クラウドの普及やIoTの進展により、ネットワークインフラはますます大規模化・複雑化しています。そうした高度なネットワーク環境を設計・構築・運用できるエンジニアの需要は今後も高まっていくでしょう。合格率は13〜15%前後のため、かなり難易度は高いですが、インフラエンジニアとしては欠かせないネットワークのスペシャリストを目指すなら、ぜひ取得しておきたい資格の一つです。
AWS認定 PROFESSIONAL・SPECIALTY
AWS認定で上位2番目に位置するのがPROFESSIONALで、AWSアプリケーションの設計やデプロイ、高度な開発と運用知識が求められます。AWSの実務経験2年以上が望ましいとされています。
最上位がSPECIALITYで、AWS環境の実務経験が2年と、専門分野での経験が5年以上が望ましいとされています。AWSに特化した高度なネットワークの知識が問われたり、AI開発やセキュリティのスペシャリストとしてのスキル証明ができたりする3種類からなります。ここまで取得できると、大規模な組織でも、インフラエンジニアとして開発トップで活躍できるレベルになるでしょう。
LinuC レベル3
LinuCの最上位資格であるレベル3は、Linuxシステムの設計・構築・運用・管理における高度な専門知識とスキルを認定します。受験するためにはレベル2の認定を取得していることが前提です。以下の3種類の試験からなり、一つ以上の合格でレベル3と認定されます。
- 混在環境(OSの混在環境におけるシステム設計・構築・運用・管理)
- セキュリティ(Linuxシステムのセキュリティ対策の設計・実装・運用・管理)
- 仮想化と高可用性(仮想化技術を用いたLinuxシステムの設計・構築・運用・管理)
すでにLinuxの業務経験がある人でも1年前後の勉強が必要とされるほど難易度は高いです。Linuxシステムの運用・管理の実務経験がある方でも、1年程度の集中的な学習が必要とされています。
取得できれば、Linux領域のインフラエンジニアとしては最高レベルの評価が得られ、活躍の場が大幅に広がるでしょう。大規模なLinuxシステムの設計・構築から運用・管理までを一貫して担えるエキスパートとして、高い評価を受けることができるでしょう。
情報処理安全確保支援士
情報処理安全確保支援士は、サイバーセキュリティに関する高度な専門知識とスキルを持つ人材を認定する国家資格です。かつては「セキュリティスペシャリスト試験」と呼ばれていただけあって、セキュリティの専門家を目指すならぜひとも取得しておきたい資格です。
試験範囲は、セキュリティ管理、システム開発セキュリティ、サイバー攻撃の分析・防御など多岐にわたります。
国家資格では最高峰のレベル4になります。取得して登録すれば「情報処理安全確保支援士」を名乗ることができ、年収1,000万円超も夢ではありません。「登録セキスペ」の呼称で、セキュリティのエキスパートとして認知されます。
まとめ
インフラエンジニアには、ネットワークやクラウドおよびセキュリティの専門職として今後も高いニーズが期待されます。ただし、実際に活躍するにはそれ相当のスキルアップが必要となるため、その手段として資格取得をおすすめします。
インフラエンジニア向けの資格は、難易度が高いものが少なくありません。したがって、初めから高望みをすると挫折するリスクがあります。自身のレベルをよく理解し、無理のないものから始めて、自信をつけながら少しずつステップアップしていくのがよいでしょう。焦らず、時間をかけてでも確実にスキルを高め、信頼されるインフラエンジニアとして活躍してください。
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