Unity(ユニティ)とUnreal Engine(アンリアルエンジン)のどちらが良いかは、ゲーム開発者の中でも意見が割れるほどです。結局、どちらのゲームエンジンが優れているか、よりもどちらが自分の指向やニーズに合っているかを見極めなければなりません。
本記事では、UnityとUnreal Engineの違いをシェア、使いやすさ、価格など重要9項目に分けて解説します。最後までお読みいただければ、各エンジンの優れている箇所がわかり、ご自身に最適なゲームエンジンを選べるようになります。
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UnityとUnreal Engineの違い
結論から言えば、Unityはスマホアプリ開発に優れており、ネット上の情報量が多く難易度が低いゲームエンジンと言えます。
こちらの記事でUnityの特徴、スマホアプリで使われる理由について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
一方、Unreal EngineはPCソフト開発に優れ、グラフィック性能の良いゲームエンジンと言えます。
こちらの記事でUnreal Engineの特徴、人気の理由について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
UnityとUnreal Engineは、どちらも多くのゲームで採用されているゲームエンジンであり、世界中のゲーム開発者が使用しています。一概にどちらが良いとは言えないため、「自身が重視するポイントではどちらが優れているか?」を見て決めるのが最も良い選択になるでしょう。
ここからは、ゲーム開発で重要視される以下の9つの項目を比較していきます。
UnityとUnreal Engine比較一覧
比較項目 | Unity | Unreal Engine |
---|---|---|
シェア率 | ◎ | 〇 |
導入実績 | Pokémon GO League Of Legends AMONG US | Fortnite PUBG Dead by Daylight |
プログラミング難易度 | △ | ◎ ブループリント(簡単) |
ネット上の情報量 | ◎ 日本語の情報が多い | △ 海外情報が多いため英語必須 |
エディタの性能・使いやすさ | 〇 | 〇 |
グラフィック性能 | 〇 | ◎ |
アセットの質 | 〇 | 〇 |
料金 | ◎ | ◎ |
将来性 | 〇 シェア率が高い | 〇 改良が進んでいる |
シェア率比較:総合はUnity、PC限定でUE
世界規模で見てシェア率が高いのはUnityですが、PCソフトに限ると上記の画像のようにUnreal Engine、Unityのシェア順位になります。Redditが、PCゲーム・ソフトのプラットフォーム「Steam」上の6万以上のゲームでどのゲームエンジンが使われているかを調査したところ、Unreal EngineはUnityの約2倍ものゲームで利用されていることが分かりました。
しかし、Statistaが行った調査では、エンジニア全体でUnreal Engineを利用しているエンジニアは25%程に留まります。一方、Unityを利用しているエンジニアは70%を超える結果がでています。
結論として、シェア率(特にスマホゲーム)が高いのはUnity、PCソフトのシェア率が高いのはUnreal Engineということが言えます。
導入実績
Unityが使われているゲームには以下があります。国内のスマホランキングで長期上位にあるヒットタイトルがそろっています。
- Pokémon GO
- League Of Legends
- AMONG US
- ウマ娘
- 原神
Unreal Engineが使われているゲームは以下です。ワールドレベルでヒットしたグラフィックが美しいタイトルがそろっています。
- Fortnite
- PUBG
- Dead by Daylight
- ドラゴンクエストⅫ
- ストリートファイターV
このように、Unity、Unreal Engineのどちらも知名度のあるゲームで採用されていることが分かります。
Unityはスマホアプリに、Unreal EngineはPCソフトに使われている傾向があります。しかし、PCゲームの開発で逆にUnityを利用している企業や、スマホアプリの開発にあえてUnreal Engineを採用している企業もあります。
ネット上の情報量比較:Unityは日本語充実
日本でシェア率が高いのはUnityのため、日本語のネット情報はUnityの方が充実しています。英語がどうしても苦手な方はUnityを選んだ方が良いでしょう。
周りにプログラミングに詳しい人がいない場合、普段出ないようなエラーが出た際にはネットを参考にする方が多いと思います。Unreal Engineを利用するのであれば、プログラミング特有の英単語は抑えておくと良いでしょう。
プログラミング難易度比較:UEのブループリントは初心者に優しい
Unityのプログラミング言語はC#、Unreal EngineはC++とブループリントを用いてゲーム開発を行います。
UnityのC#やUnreal EngineのC++はテキスト(コンピュータのための言葉)ベースのプログラミングですが、ブループリントは上記写真のように人間にわかりやすいプログラミング言語となっています。直感的にプログラミングでき、プログラミング初心者でも使いこなせます。
UnityはBooやJavaScriptも利用できましたが、いずれも廃止されてしまったため現状UnityはC#しか使えません。
Unreal Engineは、メジャーなプログラミング言語であるC++に加えてブループリントを利用できる点が大きなメリットです。プログラミングは基本的にエラーとの戦いになりますが、ブループリントはエラー頻度が非常に少なくなるため、人によっては開発スピードを倍以上にすることもできるでしょう。
C#とC++で扱える言語で選ぶのもあり
C#とC++は、C++の方が少し難しいと言われるものの、難易度に大差はありません。どちらも習得していない方は他の項目で選ぶようにしてみてください。
ただ、C#とC++は記述方法に若干の違いがあるため、どちらかに慣れてしまっている方は片方の言語の記述に慣れるのが難しいかもしれません。慣れている言語を利用できるゲームエンジンを利用するというのも手です。
こちらの記事でゲームプログラマーのおすすめ転職方法について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
エディタの性能・使いやすさ比較:シンプルなUnityと多機能なUE
UnityとUnreal Engineで、エディタの性能や使いやすさに差はほぼありません。ただし、Unityはシンプルなエディタ画面となっており、Unreal Engineはエディタ画面で多くの機能が使えるようになっています。
どちらもしばらく使えば慣れるでしょう。
拡張すればUnityでもエディタ画面で多くの機能を使えるようになるため、必要であれば拡張するようにしてください。
また、Unityの方が動作が軽いため、スペックがあまり高くないPCを使う予定の方はUnityがおすすめです。
グラフィック性能比較:UEは初心者でも高性能
グラフィックはUnreal Engineの方が優れています。そのため、PCやテレビに映すようなゲームには、Unreal Engineがよく使われます。
Unityでも綺麗なグラフィックを作り出すことは可能ですが、初心者にはかなり難易度が高いです。それに対してUnreal Engineはデフォルトのグラフィック自体が綺麗であるため、初心者でも簡単に高グラフィック作品を製作できます。
グラフィック重視の作品を作るのであれば、Unreal Engineを用いた方が良いでしょう。
アセットの質の比較:安さのUnity、高品質のUE
アセットとは、3Dモデルなどのゲーム素材のことです。どちらも無料で利用できる素材が用意されています。
Unityはアセットの量がとにかく多く、比較的安くアセットを購入できます。
一方、Unreal Engineは各アセットの質の良さが魅力です。また、質が高い分、Unityに比べると価格は割高です。
無料アセットで十分という方はどちらでも良いですが、購入予定の方は一度それぞれのアセットストアを見てみるのも良いでしょう。
料金の比較:どちらも無料から始められる
基本料金はどちらも無料です。個人が趣味で利用する程度であれば、どちらもお金をかけずに使えます。ただし、有料パッケージは料金形態が異なります。
Unityは月額料金と年額料金を選んで、定額で利用することができます。
こちらの記事でUnityのライセンスの種類、違い、選び方について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
Unreal Engineは、売上が100万ドル(約1億3000万円)を超えたら5%のロイヤリティがかかります。
将来性の比較:現在伸び盛りはUE
どちらも今後、長く利用され続けられることが予想されますが、現在伸びているのはUnreal Engineと言えるでしょう。
Unreal Engine5へのアップデートでは、使い心地の改善やバグの修正が進み、使いやすさとグラフィック性能の高さを両立できるようになりました。
しかし、Unityもシェア率が高く、直近の大手企業の新作ゲームにも数多く利用されています。そのため、どちらも将来性の高いゲームエンジンと言えるでしょう。
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UnityとUnreal Engineに関するよくある質問
- UnityとUnreal Engineの違いは?
-
nityはスマホアプリ開発に優れており、ネット上の情報量が多く難易度が低いゲームエンジンと言えます。一方、Unreal EngineはPCソフト開発に優れ、グラフィック性能の良いゲームエンジンと言えます。一概にどちらが良いとは言えないため、「自身が重視するポイントではどちらが優れているか?」を見て決めるのが最も良い選択になるでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。
- UnityとUnreal Engineシェア率はどのくらいですか?
-
Unityを利用しているエンジニアが7割と圧倒的に高いです。Unreal Engineを利用しているエンジニアは25%程に留まりますが、Unityを利用しているエンジニアは70%を超えるとの結果がでています。しかし、PCソフトであれば、Unreal EngineはUnityの約2倍ものゲームで利用されていることが分かっています。詳しくはこちらをご覧ください。
- 初心者にはUnityかUnreal Engineのどちらがおすすめですか?
-
プログラミングが簡単なUnreal Engineがおすすめです。Unreal Engineでは、ブループリントというプログラミング言語が利用できます。ブループリントは直感的にプログラミングできる言語であり、プログラミング初心者でも使いこなせます。詳しくはこちらをご覧ください。
まとめ|スマホアプリならUnity・PCソフトならUnreal Engine
本記事では、UnityとUnreal Engineを様々な分野から比較してきました。どちらも長所・短所がありますが、結論から言うと「Unityはスマホアプリに向いており、Unreal EngineはPCソフトに向いている」ということです。
Unityがおすすめの方を要約すると以下です。
- スマホアプリを開発する方
- 2Dゲームを開発したい方
- 英語が苦手な方
Unreal Engineがおすすめの方を要約すると以下です。
- PCソフトを開発する方
- 高いグラフィック性能が欲しい方
- テキストでのプログラミングに抵抗がある方
それぞれにメリット・デメリットがありますが、どちらも世界的に利用されており、基本無料で利用できる高性能なゲームエンジンです。どちらも無料ですので、時間に余裕がある方は両方触ってみても良いかもしれません。
「自身が重視するポイントではどちらが優れているか?」を見て決めるのが最も良い選択になるでしょう。
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