システムエンジニアという言葉はよく耳にすることはあっても、「どんな仕事をするのか」と問われるとハッキリと答えられない方も多いのではないでしょうか。プログラマーとは明らかに異なるのですが、その違いが曖昧な方も少なくないかもしれません。
Web3へと向かう現在において、システムエンジニアの役割は大変重要になってくるため、需要が多く、将来性も大いに期待できる職種の一つです。そこで今回は、システムエンジニアの仕事内容や必要なスキル、プログラマーとの違いや年収について詳しく解説します。
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システムエンジニアとは
システムエンジニア(SE)とは、クライアントの要望に沿ったシステム開発を行うために、仕様書や設計図を作成する職種のことです。エンジニアと名がつくため、技術職と思われがちですが、クライアントとの折衝、予算管理、進捗管理、開発メンバーの人選といった領域まで手広く担当するのが一般的です。
プロジェクトの舵取りを任される立場にあるため、開発が成功するかどうかの多くはシステムエンジニアの働きにかかっているといっても過言ではありません。その意味では重い責任を担うと同時に、大変やりがいのある仕事といえるでしょう。
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社内SEや医療SEもある
システムエンジニアは、顧客からの外注を受けるIT開発企業に所属していたり、フリーランスで仕事を請け負ったりするイメージが強いかもしれません。しかし、一般企業の中で開発業務やITシステムの管理・運営・教育などを担う社内SEといわれる人たちもいます。
こちらの記事で社内SEの転職事情、おすすめの理由について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
また、医療機関内でIT機器やネットワーク関連の運用やサポートを担ったり、医療機関に派遣されてシステム開発を専属で担当したりする医療SEもいます。ただしこの場合は、ITスキルのみならず、医療関連の法律や仕組みといった専門的な知見が求められるため、システムエンジニアなら誰でも勤まるというわけではありません。
プログラマーとの違い
一般的にシステムエンジニアは、開発プロセスにおいて要件定義や仕様書作成、設計、テストといった上流工程を主に担当します。それに対して、プログラマーはシステムエンジニアが作成した仕様書や設計図にしたがってプログラムする下流工程を担当します。
企業によってはそこまで厳密な棲み分けがなく、システムエンジニアでもプログラムを担当するケースもあります。また、プログラマーがクライアントからプロジェクトの要望をヒアリングするケースなどもあります。
こちらの記事でプログラマーの仕事のたいへんな部分について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
システムエンジニアの仕事内容
システムエンジニアの仕事内容は、具体的には以下の5つがあります。
- 要件定義
- 基本設計
- 詳細設計
- テスト
- 保守・運用
それぞれの詳細を解説します。
要件定義
システム開発の起点は要件定義です。クライアントが解決したい課題を明確にし、その課題をクリアするためにどのようなシステムを求めているのか、その方向性が妥当なのかをしっかりと検証します。
上質なプロダクトが完成しても、クライアントのスタッフが使いこなせないと意味がありません。よってシステムの操作性にも気を配る必要があるでしょう。
さらに予算や納期についても両者で共有し、システムエンジニアはその内容に沿ったかたちで仕様書を作成します。要件定義に手抜かりがあると、後々の開発業務にも狂いが起こったり、クライアントとの間で見解の相違が生じたりして最悪の場合はプロジェクト自体が失敗に終わる可能性すらあり得ます。
要件定義にはしっかりと時間をかける必要があるうえ、システムエンジニアの技量が問われるステップともいえるでしょう。
基本設計
クライアントとの間で要件定義が済んだら、その内容を大まかなイメージに落とし込むことが基本設計になります。プロダクトの機能や仕組み、操作性、画面のレイアウトや導線など、クライアントが意図しているものと実際のズレが発生しないように、システムエンジニアがイメージを固めていきます。
もしクライアントとの見解の違いが判明すれば、理想に近づくように修正するのもシステムエンジニアの仕事です。
詳細設計
基本設計で固まったプロダクトのイメージに沿って開発するためには、プログラマーがその内容を正確に理解できるように説明する必要があります。それが詳細設計です。ここでは、システムエンジニアもプログラミングの高い知識を要求されることがあります。
いくらシステムエンジニアの頭の中でプロダクトのイメージが明確になっていても、それがプログラマーに伝わらなければプロジェクトは完了しません。その意味では、要件定義や基本設計の内容をいかに正確に詳細設計に落とし込むかが、開発の成否を左右するといっても過言ではないでしょう。
テスト
プログラマーによってコーディングがなされ、プロトタイプが仕上がった段階でテストを行います。これもシステムエンジニアの大事な仕事です。
クライアント立ち合いのもとで想定される操作を行い、イメージ通りに機能するのか、バグは発生しないかといった点を厳正に確認します。ここで不具合が判明すれば、つぶさに修正を施したうえで再度テストを実施します。そしてリリースできるレベルになるまで、この作業を何度でも続けます。
保守・運用
テストに合格すれば、実際に運用を開始します。テストで問題がなくても、実際に使い始めるとクライアントの社内だけでなく、場合によってはそのシステムを利用する取引先や一般ユーザーから不具合についてフィードバックが寄せられることが少なくありません。
その場合の対応や、その後のメンテナンスもシステムエンジニアの重要な役割になります。
システムエンジニアの年収
システムエンジニアの年収は高い傾向にあります。厚生労働省が公表している「令和3年賃金構造基本統計調査」ではシステムエンジニアなどの「システムコンサルタント・設計者」の平均年収は約733万円です。一般プログラマーなどの「ソフトウェア作成者」の平均年収は約455万円を大きく上回っています。
ただし、システムエンジニアの平均年収の傾向として、年代別の差が大きいことが上げられます。
20代はプログラマーと大きな差はありませんが、システムエンジニアとして、プロジェクトチームをまとめるリーダーポジションを任されることが多くなる30代以降に責任範囲が広がり、年収の面でも大きく伸びます。
年収の上昇傾向は続いており、日本IT人材振興機構(JIPDEC)が2017年から2019年に行った調査によると、ITエンジニア全体の平均給与は、2017年では1,000万円だったのが2020年には1,500万円になっています。今後もシステムエンジニアの年収が高い水準で推移することが予想されます。
こちらの記事で高年収にもかかわらずシステムエンジニアが「やめとけ」と言われる理由について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
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システムエンジニアに求められる3つのスキル
システムエンジニアに求められるスキルについて、具体的には以下が挙げられます。
- コミュニケーションスキル
- プログラミングスキル
- マネジメントスキル
それぞれの詳細を解説します。
コミュニケーションスキル
システムエンジニアは、クライアントの意図を十分に汲み取る必要があります。そのためには、相手が何を考えているのか、何に困っているのかをしっかりとヒヤリングしなければなりません。そのために欠かせないのが、コミュニケーションスキルです。
また社内においてはプログラマーをうまく束ねながら納期までにプロダクトを完成させなければならず、そのためには円滑な人間関係の構築が非常に大切です。よって社の内外で話がしやすくて、問題があればいつでも気軽に相談できると思ってもらえるような人柄の良さやコミュニケーション能力が強く求められるのです。
プログラミングスキル
実際にプログラミングをするのは、多くの場合プログラマーです。しかし場合によってはシステムエンジニアが担当することもあります。プログラマー向けに仕様書を作成する際にもプログラミングの知識が必要になるのが一般的です。また要件定義にあたって、クライアントに技術面での提案や助言を行うには、プログラミングスキルを求められることが多いでしょう。
とくに最近では、従来のシステム開発やアプリ開発に加えて、Web3に向けたブロックチェーン開発、AI開発に対する需要も急増しています。ライバルと差別化するためにも、通り一遍の開発手法でクライアントを納得させることは難しいでしょう。
踏み込んだ議論によってクライアントの満足感と信頼を獲得したり、競争力のあるプロダクトに仕上げたりするためにも、プログラミングの知識が大きくものをいうのです。
マネジメントスキル
高度なプロジェクトほど開発はマニュアル通りに進まないことが珍しくありません。しかし一旦受注したなら納期は厳守する必要があります。そこで求められるのが、システムエンジニアのマネジメント力です。
開発手法を切り替えたり、適切なスキルをもつエンジニアを追加投入したり、アウトソーシングの可能性を探ったりといった臨機応変の対応ができるか否かで、プロジェクトの成否が大きく左右されます。
マネジメントスキルを身につけるには、ある程度の時間と経験が必要です。だからこそ、その能力に長けているシステムエンジニアは希少価値があり、さまざまな場面で重宝されるのです。
システムエンジニアの将来性
今後もシステムエンジニア需要は下がらないでしょう。昨今は、業界に関係なく多くの企業がDXに注力しています。
デジタル技術の進歩に加え、少子高齢化による人材不足を補うために、システムをアップデートさせなければ生き残っていけない企業が少なくありません。
そこで必要となるのが、システムエンジニアです。しかもキャリアを磨けば、プロジェクトリーダー(PL)やプロジェクトマネージャー(PM)へとステップアップする道が拓けます。すると、活躍の場はますます広がるうえ、収入増も期待できるでしょう。
AIが簡単に奪える仕事内容ではない
AIの台頭が目覚ましい中、AIに仕事が奪われる可能性がある職種が多数取りざたされています。しかしシステムエンジニアには、コミュニケーションスキルやマネジメントスキルなど、人でなければ発揮することのできない能力が必要です。
したがってシステムエンジニアの仕事は、この先もAIに仕事が奪われるとは考えにくいです。その意味で大いに将来性があるといってよいでしょう。
転職の幅が広がる
システムエンジニアの仕事は、以下のような様々な業種で需要が高いため転職の幅が広がります。
- 品質管理
- 進捗管理
- 予算管理
- リーダーの経験
- 業務システムの構築
- 交渉・折衝能力による即戦力
上記の経験者は、中途採用で大いに求められる人材となります。よって、転職によるステップアップが強く期待できるでしょう。
システムエンジニアでよくある質問まとめ
- システムエンジニアとは?
-
システムエンジニア(SE)とは、クライアントの要望に沿ったシステム開発を行うために、仕様書や設計図を作成する職種のことです。クライアントとの折衝、予算管理、進捗管理、開発メンバーの人選といった領域まで手広く担当するのが一般的です。詳しくはこちらにジャンプ。
- システムエンジニアの仕事内容は?
-
システムエンジニアの仕事内容には以下があります。
- 要件定義
- 基本設計
- 詳細設計
- テスト
- 保守・運用
詳しくはこちらにジャンプ。
まとめ
システムエンジニアは、企業の基幹システム、業務システム、Webアプリやモバイルアプリの開発など、さまざまなフィールドで活躍の場が与えられます。しかも国内のIT人材は大幅に不足しており、その状況は今後ますます顕著になっていくと考えられています。
そのため、システムエンジニアを目指すなら今が絶好のチャンスといえるでしょう。即戦力となる多くのスキルが身に付くシステムエンジニアに興味を持たれたという方は、ぜひ挑戦してみてください。
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