システムエンジニアの中でも、特定の企業に所属してITシステムの構築、保守、管理、そして社員のITリテラシー向上をサポートする「社内SE」(社内システムエンジニア)は、転職先として大変人気です。近年、多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を重要な課題と位置づけており、その成功には社内SEの存在が欠かせません。
こちらの記事でシステムエンジニアの仕事内容、将来性について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
ただし社内SEの中途採用枠は、通常のシステムエンジニアよりも数が限られています。社内SEへの転職を成功させるにはしっかりと準備し、計画的な対策が必要です。そこで、この記事では社内SEへの転職がおすすめの理由や必要なスキル、転職成功のポイントについて詳しく解説します。
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社内SEへの転職が難しい2つの理由
社内SEへの転職は以下の理由から簡単ではないと言われることが多いです。
- 競争率が高い
- 高い総合スキルが求められる
それぞれの理由について解説します。
社内SEは競争率が高い
社内SEは他のエンジニアに比べると採用枠が限られていることが多いため競争率が高いのが一般的です。特に中小企業では、限られたリソースの中で最適な人材を選ぶ必要があるため、競争率が高くなります。
この競争を勝ち抜くためには、自分の専門スキルだけでなく、ビジネス理解、コミュニケーション能力、リーダーシップなど、多岐にわたる能力の証明が求められるでしょう。
特に中規模企業の社内SEでは、1〜2名程しか募集されないことも珍しくありません。その割に応募者が多いため、企業としては優秀な人材を確保しやすいですが、転職者にとっては狭き門となります。
高い総合スキルが求められる
社内SEは、「社内におけるITの何でも屋」のようなポジションにあり、非常に幅広くかつ高度なスキルが求められます。社内SEとして求められるスキルセットを具体的に理解し、それに合わせたスキルアップの計画を立てることが転職の成功につながります。IT関連の知識だけでなく、以下のスキルも求められます。
問題解決スキル
社内SEにはITの問題やトラブルに対して迅速に対処する能力が必要です。これには、技術的な知識だけでなく、問題解決のスキル、危機管理の能力などが求められます。
プロジェクトと人員の管理能力
社内SEには人員と時間の効率的な管理能力が欠かせません。これには、プロジェクト管理のフレームワークやツールの理解、リソース管理、リスク管理などの専門的な知識と経験が必要です。
高度なシステム管理スキル
社内SEは、組織内のデジタルシステムを論理的に統制するスキルが必要です。これには、システムアーキテクチャの理解、セキュリティポリシーの設計、データ管理の戦略など、高度な専門知識が求められます。
これらのスキルを確実に身につけるには努力と経験が必要ですので、社内SEへの転職は多くの人にとってハードルが高く感じられるのかもしれません。
社内SEへの転職がおすすめの3つの理由
社内SEへの転職がおすすめの理由は、以下の3点です。
- 優秀な社内SEを必要としている企業が多い
- 待遇が良い
- やり甲斐のある仕事ができる
各おすすめポイントについて詳しく解説します。
優秀な社内SEを必要としている企業が多い
優秀な社内SEは組織内でITの中心的存在となります。幅広いIT関連業務において高度な知識とスキルを持つ優れた社内SEは非常に重宝され、転職市場において非常に需要が高いです。社内SEは以下の仕事があります。
- ITシステムの構築、管理、運用
- データベースやセキュリティの管理
- ITシステムを使いこなすための社員のサポート
IT分野は急速に変化し続けており、多くの経営幹部や一般社員がその変化に追いつくのが難しいため、社内SEへの依存度は高まる一方です。もし社内SEがいなければITシステムのアップデートや改変を外部に委託することになり、コストや時間がかかります。
さらに情報漏洩のリスクも高まるためデメリットが少なくありません。そのため、規模の大きな企業やDXに真剣に取り組む企業は、優秀な社内SEの確保に積極的です。
待遇が良い
社内SEの年収は、全職種の平均と比較するとかなり高めで、社内SEの平均年収は511万円です。大企業の管理職クラスの社内SEであれば年収1000万円がスタートラインになります。
国税庁が発表した令和3年の民間給与実態統計調査によると、国内の全給与所得者5270万人の平均給与は443万円です。ですから、単純な月平均でみるとひと月で約5万円ほど上回る計算となります。
やり甲斐のある仕事ができる
社内SEの仕事は、やり甲斐があります。企業の主要なシステムや業務システムの設計・構築、ベンダーへの開発指示、そしてこれらシステムの運用・管理といった、収益やガバナンスに関わる重要な業務が含まれるからです。
エンジニアというと、静かにパソコンで作業するイメージが強いかもしれません。しかし社内SEは、社内のITサポートデスク的な役割もあるため、複数部署の多くの社員から頼りにされ、感謝される機会が多いです。このような状況から、社内における自分の存在意義を実感しやすく、非常に大きな充実感を感じることができるのです。
社内SEに求められる5つのスキル
社内SEに求められるスキルは、以下があります。
- ビジネスへの深い理解
- 交渉能力とコミュニケーションスキル
- ベンダーコントロールの能力
- 論理的思考力
- ITシステムについての幅広い知識
それぞれのスキルについて詳細を解説します。
ビジネスへの深い理解
社内SEには、自社の業務フロー、戦略、文化などを深く理解する能力が求められます。これは通常のSEよりも特に重要な能力で、以下のような具体的な側面があります。
業務フローの理解
社内SEには、企業が取り扱う商品の製造から販売までの一連のフローを理解し、その中でシステムがどのように活用されるかを把握しなければなりません。業務フローの理解により、システムが業務にどう組み込まれるべきか、どの部分を最適化すれば効率が上がるかなどを正確に判断できます。
戦略の理解
社内SEは、企業の中長期的なビジネス戦略や目標を理解し、それに合致したシステム開発を行う必要があります。企業の成長戦略に寄与するシステムを構築するため、戦略的な視点が不可欠です。
企業文化の理解
社内SEは、社内のコミュニケーションスタイルや意思決定のプロセス、価値観などを理解し、それに合ったシステムを提案することが必要です。企業文化に合わないシステムは受け入れられず、失敗につながる可能性があるため、文化への理解と共感が求められます。
社内SEには、自社のビジネス全体を俯瞰し、それぞれの部門や業務がどのように連携しているのかを理解する「ビジネス理解」が不可欠です。この能力によって、企業のビジネス成長に直接貢献するシステムの開発が可能となります。
交渉能力とコミュニケーションスキル
社内SEには、高い交渉能力が求められます。例えば、社内で基幹システムや業務システムを新規導入を検討する場合、上司や経営幹部、またはトップ層の中にはITに関する知識が不足していることがあるかもしれません。
その際、提案するシステムが企業にとってどれほど重要で、導入するのとしないのとではどのような差が生じるのかを分かりやすく説明し、十分な納得を得る必要があります。
開発の現場でも、営業、マーケティング、製造など、異なる部門と連携してシステムを開発する必要があります。社内SEは多岐にわたる部門と連携する必要があり、それぞれの部門のニーズを理解し、一体的なシステムを構築する能力が求められます。
また、システムを外注する場合も、予算内で十分なスペックと機能性を備えたものに仕上げるよう相手企業との交渉能力も必要になります。これらのスキルを磨くことで、社内での評価はもちろん、企業全体にとっても大きな利益につながりますので、しっかりと身につけておくべきです。
ベンダーコントロールの能力
社内SEには、自社のITシステムを保守・管理しているが外部ベンダーをこちらの都合や方針に沿ってコントロールするスキルも求められます。全てのベンダーに当てはまるわけではありませんが、クライアント企業からITシステムの保守や管理を一任された際、業務の手を抜いたり、高額な請求を行ったりするケースも見受けられます。
こうした問題を未然に防ぐために、細部に気配りを欠かさず、不正や不備を見逃さず指摘し、修正を促すことも重要な役割です。もちろん、プロ同士として敬意を払い合う良い関係を保ちながら、システム品質を維持するのは簡単な仕事ではありません。
論理的思考力
社内SEには、論理的思考力も強く求められます。ITシステムの構築や運用において、感情論や曖昧な考え方では、望む結果を実現するのは難しいからです。
例えば、ヘルプデスクとしてトラブルを解決する場合でも、相手に伝わる形でしっかりとした筋道を立てて説明する能力が不可欠です。誰もが理解しやすいロジカルな説明ができるなら、社内でも高い信頼を得ることができるでしょう。
ITシステムについての幅広い知識
社内SEは、ITシステムに関する幅広い知識が求められます。具体的には、スマートフォンやパソコンの基本操作から、アプリやソフトの使用方法まで、様々なパターンを把握しておく必要があります。企業によって異なる要件もあるかもしれませんが、大まかに以下のような業務が含まれます。
- ITインフラの保守・管理
- ITシステムの構築と保守・管理
- データベースの設計・構築・バックアップや復旧など
- セキュリティ管理を含めたネットワークの構築と保守
- IT全般に関するヘルプデスク
社内SEへの転職を成功させる5ポイント
社内SEへの転職を成功させるには、以下の5つのポイントを押さえておくとよいでしょう。
- 事前の市場調査と早期応募
- プログラミングスキルを身につける
- IT関連の業務で経験を積む
- 資格を取得しておく
- 転職エージェントを活用する
それぞれのポイントを解説します。
事前の市場調査と早期応募
社内SEの採用枠は非常に限られているため、競争が激しいです。市場分析を行い、どの企業が社内SEを求めているのか、どの業界で需要が高いのかを把握し、ターゲット企業をリストアップしておくとよいでしょう。
求人情報サイトや業界紙、ネットワーキングなどで最新の求人情報を常にチェックし、求人が公開されたらすぐにエントリーすることが重要です。履歴書や職務経歴書は事前に準備しておくとスムーズに応募できます。
求人が公開されたらすぐにエントリーしましょう。ためらっていると、求人が締め切られる可能性があります。気になる企業があれば、できるだけ早く応募するように心がけましょう。
プログラミングスキルを身につける
システムを構築するには、プログラミングスキルが不可欠です。特に汎用性の高い言語(例: Java, Python, SQLなど)は、多くの業界・企業で使用されるため、基本的なスキルとして習得しておくと良いでしょう。
社内SE自身がコーディングすることは少ないかもしれませんが、開発者とのコミュニケーションやシステムのトラブルシューティングにはプログラミングの理解が必要です。
また、社内SEは業務プロセスの効率化も担当することが多いため、プログラミングスキルを活用して業務の自動化や効率化を図ることが期待されることもあります。社内SE自身がプログラムを書くことはまれですが、システムがどのようにプログラムされているかを理解することは非常に重要です。その際、プログラミングスキルの有無が大きな違いを生むため、特に汎用性の高い言語は習得しておくといいでしょう。
IT関連の実務経験を積む
社内SEには、高いITリテラシーが求められるため、IT関連企業での実務経験が非常に重要となります。開発や運用、保守、管理業務などの経験がなければ、求められるスキルを磨くことが難しいでしょう。
特に、社内SEは企業のIT戦略を推進する役割を担うため、業務システムの開発だけでなく、セキュリティ対策、クラウドサービスの導入、データ分析など、多岐にわたる知識と経験が求められます。これらのスキルは、IT関連の業務で直接経験を積むことで効率的に習得することができます。
実践的な能力をさらに発揮したい場合、IT関連企業での実務経験が非常に重要です。
資格を取得しておく
社内SEを目指すなら、将来的に担当する業務内容を見越して以下のような関連資格を取得しておくと有利でしょう。
- 基本情報技術者試験
- 応用情報技術者試験
- システムアーキテクト試験
- ネットワークスペシャリスト試験
- シスコ技術者認定
- オラクルマスター
- プロジェクトマネージャ試験
- ITストラテジスト試験
他にも関連資格は数多くあるので、よく調べて必要に応じて検討していくとよいでしょう。
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転職エージェントを活用する
社内SEへの転職を本格的に検討するなら転職エージェントの活用をおすすめします。なぜなら、社内SEの求人枠は限られており、募集がすぐに締め切られる可能性も高いからです。
また、今の仕事を続けながら転職活動を進めることは容易ではありません。プロのエージェントに頼ることで、理想の転職先をスムーズに探し出すことができます。
社内SEでよくある質問まとめ
- 社内SEへの転職がおすすめの理由は?
-
社内SEへの転職がおすすめの理由は以下の3点があります。
- 優秀な社内SEを必要としている企業が多い
- 待遇が良い
- やり甲斐のある仕事ができる
詳しくはこちらにジャンプ。
- 社内SEへの転職は難しい?
-
社内SEへの転職は以下の理由から簡単ではないと言われることが多いです。
- 競争率が高い
- 高いスキルが求められる
詳しくはこちらにジャンプ。
まとめ
社内SEに転職すれば、やり甲斐のある仕事ができ、収入アップも期待できるでしょう。しかし社内SEの中途採用枠は限られているため、一定のスキルが必要です。
ただし、よく準備を行い、信頼できる転職エージェントのサポートで情報収集や適切なアドバイスを受けるなら、希望している会社の社内SEになるのも夢ではないでしょう。興味のある方は、ぜひチャレンジしてください。
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