ITエンジニアの皆さんなら、一度はベンチャーで仕事をしてみたいと思ったり、ベンチャーから転職の誘いが来たりした経験があるという方も多いのではないでしょうか。
ベンチャーは、大企業と比べても実力主義や最先端の分野に携われるといった魅力があります。その一方で、仕事が桁違いにハードだったり、ワンマン社長が多いという噂に二の足を踏んでしまう方もおられるかもしれません。
そこで今回は、ベンチャー転職でITエンジニアが後悔する理由や後悔しないための対策、またベンチャーのメリットについて詳しく解説します。ベンチャーへの転職に興味のあるエンジニアは、ぜひ参考にしてください。
こちらの記事でエンジニアとして重要な時期である30代でのベンチャー転職について考えるべきポイントについて詳しく解説していますので併せてご覧ください。
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ベンチャー転職したITエンジニアが後悔しがちな6つの原因
多くのエンジニアが、ベンチャーへの転職で後悔している理由について解説しましょう。具体的には、以下の5点が挙げられます。
- 仕事が予想以上にハード
- 収入が大幅にダウン
- 社長がワンマン
- スキルアップができない
- 福利厚生が未整備
- 社会的信用が少ない
仕事が予想以上にハード
ほぼ例外なくいえることは、ベンチャーでの仕事は多忙を極めます。起業して間もなかったり、人手が限られていたりするため、一人当たりの仕事量が多くなりがちです。その点はスタートアップでの業務でも同じことでしょう。急激な成長をアグレッシブに目指すスタートアップほどではないかもしれませんが、ベンチャーの業務量も予想より大きくなりがちです。
こちらの記事でスタートアップとベンチャーの違いについて詳しく解説していますので併せてご覧ください。
ただでさえ転職したばかりで不慣れなうえに、マルチタスクを強いられ、しかも早い段階での成果を求められることが多いので心身ともに疲弊しやすいといえるでしょう。研修制度が充実していないなどの理由で、頼りたくても頼れず、どんどん追い込まれてしまい、転職しなければよかったと後悔するパターンがあるのです。
収入がダウン
とくに大企業からベンチャーに転職した場合は、年収が大幅にダウンすることがあります。一般的にITベンチャーの平均年収は600万円前後です。国税庁の令和3年分民間給与実態統計調査によると、全業種の平均年収は443万3,000円なので、かなり上回っているといえるでしょう。
しかしその一方でベンチャーの中にも格差があり、少ないところは300万円台、中には200万円台という例もあり、全業種の平均を大幅に下回るケースがあります。収益の増減が激しい企業も少なくないため、場合によってはボーナスが出ないことも考えられるでしょう。す
ると住宅ローンを抱えているとか、子育て中ですと、たちまち家計が苦しくなって転職を後悔することがあるのです。
社長に権限が集中
ベンチャーは、社長の意向や考え方によって、方針が目まぐるしく変化することがよくあります。手探り状態のため、正解がわからず迷走するケースが多いからです。
人の選り好みが激しい社長も少なくないので、気に入ってもらえると仕事がやりやすいでしょう。ところが、面接の際の好印象とは打って変わって、仕事を始めると非常に冷たくあしらわれてしまう場合があります。そうなると肩身が狭くなり、何をするにも社長の顔色ばかりを伺ってストレスがたまって転職を後悔する結果となるのです。
スキルアップができない
成長途中のベンチャー企業では、行き当たりばったりで次々と仕事を振られて自分が理想とするスキルアップが一向に進まないことも珍しくありません。たとえば、ある業務を本格的に取り組もうとすると、方針が変わってそれ以上は踏み込めなくなるといった具合です。
何をするにも中途半端で終始することが続くと自信がつくまでのスキルを身につけるのが難しくなり、かえって前職の方が良かったのではと後悔するのです。
福利厚生が未整備
一部のベンチャー企業は、福利厚生の面での未整備が顕著な問題点となっています。これは、多くのベンチャーが限られた資源を製品開発や市場拡大に傾けるため、従業員の福利厚生の充実にまで手が回らないことが一因です。
具体的には、従業員向けの以下制度のような大企業では当たり前のように提供される福利厚生が、ベンチャー企業では限定的です。
- 健康保険
- 年金制度
- 休暇制度
- 柔軟な勤務時間
- リモートワークのオプション
- 子育て支援
これにより、長期的なキャリアパスやライフスタイルの安定性を求めるエンジニアにとっては、魅力的な転職先である一方で、日常生活の不安定さや将来への不安を感じる要因ともなります。
このため、ベンチャー企業への転職を考える際には、職場環境や福利厚生の実態について、事前の情報収集や転職時の交渉が非常に重要になります。ベンチャー企業で働くことの魅力とリスクを天秤にかけ、自身の価値観やキャリアプランに合致するかどうかを慎重に判断することが求められます。
社会的信用が少ない
ベンチャー企業への転職は、社会的信用の低さという側面も考慮する必要があります。一般的に、確立された大企業と比較して、ベンチャー企業はブランド認知度や市場での信用度が低い傾向にあります。これは、新しい市場や技術に挑戦するベンチャーの特性上、事業の安定性や長期的な成功が保証されていないためです。
社会的信用の低さは、特にキャリアの途中でベンチャー企業に転職する場合、将来の転職市場での立ち位置に影響を与える可能性があります。例えば、ベンチャー企業での経験やスキルは、伝統的な大企業や異業種において必ずしも同等の評価を受けるとは限りません。
また、事業の不確実性が高いベンチャーでは、突然の事業縮小や閉鎖のリスクも含んでおり、これがキャリアの途切れや再就職の困難を引き起こすこともあります。
ベンチャーに転職する4つのメリット
続いては、逆に大企業からベンチャーに転職するメリットについてみていきましょう。具体的には、以下の4点です。
- 実力で評価される
- 成長できるチャンスが大きい
- トップとの距離が近い
- 柔軟な仕事スタイルが実現する
実力で評価される
ベンチャーは、過去の経歴や年齢より、現在のリアルな実力、その会社で求められる力をどこまで発揮できるかによってはっきりと評価されます。そのため自分の得意な仕事を任されると、高レベルのパフォーマンスが発揮でき、短期間のうちに驚くほど収入がアップしたり、役員に抜擢されたりといったことが起こりえます。
これは大企業にはまずありえないやり甲斐といえるでしょう。型にはまってコツコツと積み上げるより、マニュアルにこだわらず仕事の成果で評価されたいというタイプにはうってつけです。
成長できるチャンスが大きい
たとえ一つの業務がうまくいかなくても、ベンチャーでは次々と別の仕事を振られることが多いです。そのため、思わぬ形で適性が見つかることがあるでしょう。
また、同時にこなさなければならないタスクが多いことで、今までにない処理能力が培われたり、魅力ある人との出会いがあったりして成長できるチャンスが広がると期待できます。すると従業員でありながら、経営者目線の考え方が身についたり、協力者が現れたりすることで、起業に向けたステップアップが実現することもあるのです。
トップとの距離が近い
トップとの距離が非常に近いのも、ベンチャーの魅力でしょう。数千、数万人規模の大企業の場合、社長から名前や仕事ぶりを直接認識してもらうことは至難の業です。よほど大きな成果を出したり、一定以上まで立場が上がったりしなければまず難しいでしょう。
しかしベンチャーは、常に社長の目の届く範囲で仕事ができるので、直接評価されたり、アドバイスをもらったりすることが日常的にあります。その分、厳しい面もありますが、アピールできるチャンスが多い点は非常にやり甲斐があるでしょう。
柔軟な仕事スタイルが実現する
型にはまった仕事スタイルに縛られないのもベンチャーの良さです。フレックス制や育休が充実していたり、テレワークが重視されたり、副業が自由に行えたりといった具合です。
すると、趣味や家族との時間を確保しやすくなり、副業で異なるスキルを身につけるとか、将来に向けて独立準備や楽しみを増やすことも可能になるでしょう。大企業で働くよりも自由度が広く、ワークライフバランスの向上が期待できます。
ベンチャー転職に後悔しないための6つの対策
最後にベンチャーに転職して後悔しないための対策を紹介しましょう。具体的には、以下の6点です。
- 転職する理由を明確にする
- 複数の会社を比較する
- 年収が大幅にダウンしても大丈夫な環境を整える
- 心身ともに良好な状態にする
- トップと社内の様子をしっかりチェックする
- 転職エージェントを活用する
転職する理由を明確にする
ベンチャーへの転職にあたっては、「なぜそこに移るのか」というブレない理由をしっかりと持っておく必要があるでしょう。
ベンチャーに転職すると、理想や想定とは異なることが大なり小なり次々と起こってくるものです。その際に、転職理由が曖昧だと不満や後悔が出やすく、結果として自身を苦しめることになりかねません。
しかし、確固たる転職理由や目的があれば、仕事に取り組む姿勢や工夫、努力の仕方が違ってくるはずです。そして苦しい局面でも何とか踏ん張ることができ、その先で大きな成果を出せるかもしれません。すると、転職して良かったと喜べる結果にもつながるでしょう。
複数の会社を比較する
ベンチャーと一言に言っても、そのレベルや仕事内容、報酬、社員の質はピンからキリまであります。将来的にIPOを果たして上場する例もあれば、わずか1年足らずで倒産してしまうケースもあります。
そのため、初めから一社だけに絞って動くのは危険ですし、自分の可能性を縮めることにもなりかねません。それよりも複数の会社を比較して、さまざまな角度からどこが自分にもっとも相応しいかを検討しましょう。
今が苦しいからと言って目先の欲だけで安易に乗り換えると、それこそ後悔する羽目になりかねないので、くれぐれも注意してください。
年収が一時的にダウンしても大丈夫な環境を整える
ベンチャー転職すると収入が一時的にダウンする可能性があります。もちろんその逆もありますが、よいことばかり想像しすぎるのは、かなりリスキーでしょう。
それより、年収ダウンしても1年間は生活が成り立つ状況を整えてから転職することをおすすめします。
単に家計の収支だけでなく、パートナーやその他の家族、同居人など生活をともにする人たちの同意を得ることも忘れないでください。苦境に立たされたときに乗り越えられるのは、身近な協力者あってこそだからです。
仕事が難しくなると、ただでさえストレスが増えるうえ、周囲との人間関係もギスギスしがちになるので、この点は非常に重要です。
心身ともに良好な状態にする
ベンチャーで成功するためには、心身ともに良好な状態でなければ難しいでしょう。次々とやってくる困難な課題やプレッシャーに負けず、淡々とやり過ごすだけの強さが必要だからです。
仕事への高いモチベーションはもちろん、バランスのとれた食事、適度な運動、良質な睡眠、健康診断など、簡単に状態を崩さないための習慣やルーティン、自己管理能力をしっかりと身につけましょう。
トップと社内の様子をしっかりチェックする
仕事で成果を出すには、社内における人間関係が大きくものを言います。よって、トップが共に働くのに相応しい人格や理念の持ち主か、社員が生き生きと明るく仕事をしているかなどを、できるだけ明確にチェックしておくことが重要です。
成功するベンチャーは、例外なく明るさと活気に満ちています。そうでなくては、前例のない事業や商品を一から世の中に根づかせて、独自のビジネスモデルを確立することなどできないからです。
ぜひ、転職前に現場の様子を見せてもらい、それを拒否するような企業はやめておいた方がよいでしょう。
転職エージェントを活用する
転職エージェントには、多くのベンチャーが登録しています。自分で一から見つけるより、ITエンジニアに特化したエージェントを活用する方が、何倍も効率よく理想に近い企業を探し当てることができるでしょう。
中には斡旋だけでなく、コンサルティングをしてくれるところもあります。しかも無料で登録可能な信頼できるエージェントがいくつもあるので、ぜひ検討してみてください。
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まとめ
ベンチャーへの転職は勇気がいりますし、考え出すと不安になることも多いでしょう。とくに大企業から移るとなると、なおさらかもしれません。
しかし、エージェントを使って複数の企業をあたったり、トップや社内の様子を事前にしっかりチェックしたり、家族など周囲の協力を取り付けて挑めば、成功することも十分に可能です。後悔する人は、後悔する方法を知らず知らずのうちに選択していると知りましょう。
ベンチャーには大きな魅力が数多く詰まっています。そのチャンスを手にするために、ぜひ今からでも準備に取り掛かってみてはいかがでしょうか。
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