メタバースエンジニアの需要が高まっています。総務省が公表している令和4年度情報通信白書では、メタバースの世界市場の規模は2021年では4兆2,640億円、2030年には78兆8,705億円にまで急拡大するとされています。
そのため、メタバースの立ち上げ、運営管理で人材の確保が欠かせない状況です。また、メタバースはブロックチェーン、仮想通貨(暗号資産)、NFT、AR/VRなどWeb3各分野を包含して伸びていく分野のため周辺ビジネスでの人材も大いに必要とされています。
本記事では、メタバースエンジニアの仕事内容や年収、必要な言語などを詳しく解説します。
こちらの記事で技術や分野の細分化で日々増えているITエンジニアの種類の違いを整理していますので併せてご覧ください。
Tech Forwardに登録されているWeb3分野の最新求人一覧を以下からご覧ください。
メタバースエンジニアとは?
メタバースエンジニアとは、コンピュータ中に構築された3次元の仮想空間であるメタバースに関する開発や設計を行うエンジニアです。メタバースの開発はプラットフォームの開発だけでなく、アプリ開発やサーバー開発、3Dデザインなど多岐にわたります。メタバースの開発は、一般的なシステム開発と比べ大型の開発になることが多いです。
そのため、現在のメタバース市場の拡大に伴って企業の人材争奪戦が始まっています。求人数が多いのは、Unityを扱うことができる開発系エンジニアやiOS・Androidのアプリ開発エンジニア、インフラエンジニアなどです。
メタバースエンジニアの種類と仕事内容
メタバースエンジニアの主な種類と仕事内容は以下です。
- ゲーム開発エンジニア
- アプリ開発エンジニア
- インフラエンジニア
- 3DCGエンジニア
それぞれについて詳しく解説します。
ゲーム開発エンジニア
ゲーム開発エンジニアは、メタバース全体のプラットフォーム設計・開発を行うエンジニアです。メタバース空間の開発はゲーム空間の開発に近いため、ゲーム開発エンジニアが求められています。
実際には全体設計や使用する技術選定、開発計画の策定までを担当することもあるため、ゲームメーカーで働くエンジニアより業務範囲が広いことも多いです。
こちらの記事でWeb3時代のゲームプログラマーに必要なスキルについて詳しく解説していますので併せてご覧ください。
メタバース開発には、一般的に必要なライブラリや素材などの機能をまとめたゲームエンジンが用いられます。ゲームエンジンを用いることで、簡単なプログラムを組むだけでサウンドやグラフィックなどを効率的に開発することが可能です。
使用されるゲームエンジンは、主にUnityとUnreal Engineが用いられることが多くなっています。その中でも、現在はUnityが大きなシェアを占めています。
こちらの記事でメタバースエンジニアが知っておくべきUnityの概要について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
こちらではUnityと双璧を成してメタバースエンジニアが活用するUnreal Engineについて詳しく解説していますので併せてご覧ください。
アプリ開発エンジニア
アプリ開発エンジニアは、メタバースを利用するためのPCアプリやスマホアプリを開発するエンジニアです。
現在多くのメタバース開発プロバイダーはPCだけでなく、広く普及しているスマートフォンにも注力しています。そこで、スマートフォン向けのアプリケーション開発を行うエンジニアが必要です。
現在スマートフォンアプリはAppleとGoogleの2大市場となっているため、主にiOS・Android向けアプリを開発することになります。アプリ開発エンジニアは、アプリの企画出しからシステム設計、プログラム開発や運用保守などアプリ開発に関わる多くの業務を担当することになります。
メタバースのアプリ開発エンジニアになるには、KotlinやSwiftなどの言語でアプリ開発を行った経験があると、優遇されやすいです。
こちらの記事でメタバースエンジニアにおすすめのアプリ開発副業で稼ぐ方法について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
インフラエンジニア
メタバースのプラットフォームを運営するにあたってはサーバーの開発・管理が欠かせません。利用者が増えてサーバー負荷が増すことなども考えられるので、高負荷処理への対応が可能なインフラ系エンジニアの求人も比較的多いです。
特にメタバースはまだまだ発展途上の市場であるため、突然人気に火がついて多くの利用者が集中してアクセスすることも想定されます。
また、バックエンドやセキュリティ部分もプラットフォーム運営において不可欠な存在であるため、これらを担うエンジニアもニーズが高くなっています。
3DCGデザイナー
3DCGデザイナーは、メタバース内に登場するアバターなどのキャラクターや衣装、アイテムや建築物のデザインをする職種です。プラットフォームやサーバー開発にどれだけ力を入れても、ユーザーが魅力を感じるデザインでなければ、利用者は増えません。そのためデザイナーの重要性は非常に高いです。
3DCGが作成できるソフトを使用することがほとんどで、MayaやBlender、3ds Maxなどがよく使われています。中でもMayaの使用率が高いです。
また、企業によっては、UI/UXデザイナー、メタバース建築家、バーチャルファッションデザイナーなど、職種をさらに細分化していることもあります。
メタバースエンジニアの年収相場は?
メタバースエンジニアの年収は一般企業よりも高い傾向にあります。Tech Forward調査によるとメタバースエンジニアの年収は約750万円です。また、数年経験を積めば850万円を超える年収を手にすることもできます。
国税庁が公表している「令和3年民間給与実態調査」によると、日本の平均年収は約443万円なので、メタバースエンジニアは平均年収より300万円以上高い収入が得られます。
また、厚生労働省が公表している「令和3年賃金構造基本統計調査」ではプログラマーなどの「ソフトウェア作成者」の平均年収は約455万円、システムエンジニアなどの「システムコンサルタント・設計者」の平均年収は約733万円です。いずれも日本の平均年収を上回っています。しかし、メタバースエンジニアの年収はこれよりさらに高いことになります。
メタバース市場は急スピードで拡大しているため、人材の供給が追いついておらず売り手市場となり、年収が高い傾向にあります。高年収を目指すのであれば、メタバースエンジニアはおすすめの職業といえるでしょう。
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メタバースエンジニアに求められる言語スキル
メタバースエンジニアになる上で、求められるプログラム言語スキルは主に以下です。
- Unity
- Unreal Engine
- C言語
いずれもメタバース開発に必要なツールや言語です。それぞれについて解説します。
Unity
メタバースのプラットフォームは基本的にはゲームと同じ仮想空間のため、ゲーム開発エンジンを用いて開発されます。VRとの相性が良いことから、Unityを使用することが最も多いです。
こちらの記事でVRの仕組み、活用例について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
Unityは有名ゲームにも多く用いられており、ポケモンGOやドラゴンクエストⅧのリメイク版などに使用されています。そのため、メタバース自体は未経験であってもUnityの開発経験があれば、転職で有利になります。
Unityの開発経験がない方であっても、条件を満たせば無料ライセンスプランを利用できるため、手触りを確認したり、自身で開発経験を積んだりすることが可能です。
こちらの記事でメタバースエンジニアが学んでおくべきUnityの特徴について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
Unreal Engine
Unreal Engineもゲーム開発エンジンとして使用率が高いです。ゲーム開発の現場ではUnityの方が現在のシェアは高いですが、Unreal Engineは汎用性が高く、映画やテレビ番組、建物や自動車の設計にも使われています。
1998年に初版がリリースされ、UE1~UE5へとバージョンアップがされています。Unityよりもリリース年が早く、歴史の長いゲーム開発エンジンです。
Unreal Engineもフォートナイトなどの有名ゲームに使用されているので、開発経験があることをアピールできれば転職活動で強みを持つことができます。
こちらではメタバースエンジニアが活用するUnreal Engineの特徴について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
C言語
UnityやUnreal Engineでメタバース開発を行ううえで、C言語の習得は欠かせません。ただし両者で使用する言語の種類が異なります。UnityではC#、Unreal EngineではC++を用いて開発を行います。
現在メタバース開発において最も使用されているのはUnityなので、これからメタバースエンジニアを目指す場合は、まずC#を学ぶのがおすすめです。既にどちらかの言語の使用経験がある場合は、対応するゲーム開発エンジンでの開発経験を積むことが転職への近道になるでしょう。
メタバースエンジニアの将来性は?
メタバースエンジニアの将来性は、メタバース市場が急拡大していることから、非常に有望であると言えます。その要因としては主に以下です。
- 市場規模の拡大
- 日本政府と企業の利活用増加
- NFT技術の発展
それぞれについて解説します。
市場規模の拡大
メタバースの市場規模は現在急スピードで拡大しています。総務省が公表している令和4年度情報通信白書では、メタバースの世界市場の規模は、2021年時点では4兆2,640億円ですが、2030年には78兆8,705億円にまで急拡大するとされています。
これは現在注目を集めているエンターテインメント業界だけではなく、教育や小売りなど様々な業界での活用が期待されているためです。
また、株式会社三菱総合研究所の調査では、メタバースの国内市場は2025年には4兆円程度、2030年には約24兆円規模に成長するとされており、国内においても大きな期待が寄せられています。
2030年以降もメタバースを中心とする経済圏は成長を続け、最終的には数十億人を超えるユーザーが参加する市場になるとも言われています。このようにメタバース市場は今後急拡大し、多くの産業での活用が始まるため、メタバースエンジニアの需要は高まっていくでしょう。
日本政府と企業の利活用増加
日本政府や大手企業もメタバースの活用に取り組んでいます。日本の大手企業もメタバース市場への参加に意欲的です。
パナソニック株式会社は、メタバース向けのヘッドセットなどVR装置の開発に着手していますし、KDDI株式会社ではメタバース用のプラットフォームを展開しています。
Facebookは、メタバース時代を見据えて2021年に社名をMeta(メタ)に変更しました。マーク・ザッカーバーグCEOは「10年以内にメタバースを10億人にリーチさせる」ことを発表しました。他にも、ブロックチェーンゲームをベースにメタバースを構築して事業を拡大する以下のようなプラットフォームもあります。
- The Sandbox(ザ・サンドボックス)
- Decentraland(ディセントラランド)
- Axie Infinity(アクシーインフィニティ)
- ALICE(アリス)
総務省が公表している資料によると、政府においてはメタバース空間に現実空間の物体や状況を「双子」のように再現するデジタルツインの活用が進められています。
デジタルツインが現在利用されているのは、製造業での試作コストの削減や災害リスクの測定などです。メタバース空間に現実世界の都市を再現し、実際に災害が起きた際のリスク測定などに用いています。
また、今後のメタバース市場拡大に備えて、利用者が不利益を被らないような規制作りについても議論が行われています。
このように各社がメタバース市場に次々と参入しており、メタバースエンジニアの求人は今後増えていくことが予想されるでしょう。
NFT技術との発展
メタバースの盛り上がりにはNFT技術の発展も関与しています。メタバースとNFTは非常に相性が良く、両者を用いることでユーザーがメタバース上で土地やアイテムの所有権をNFT技術によって売り買いすることが可能です。
これにより、企業やクリエイターがメタバース上でユーザーに向けた作品販売やイベントを行うことができるようになり、メタバース上での経済活動が活発化することが予想されます。
既にThe Sandboxなどのメタバースでは、投資対象としてメタバース上の土地が高額で販売されています。
メタバースエンジニアでよくある質問まとめ
- メタバースエンジニアとは?
-
メタバースエンジニアとは、コンピュータ中に構築された3次元の仮想空間であるメタバースに関する開発や設計を行うエンジニアです。現在のメタバース市場の拡大に伴って企業の人材争奪戦が始まっています。詳しくは「メタバースエンジニアとは?」にジャンプ。
- メタバースエンジニアの年収相場は?
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メタバースエンジニアの年収は一般企業よりも高い傾向にあります。Tech Forward調査によるとメタバースエンジニアの年収は約750万円です。また、数年経験を積めば850万円を超える年収を手にすることもできます。詳しくは「メタバースエンジニアの年収相場は?」にジャンプ。
まとめ
今回はメタバースエンジニアの仕事内容や年収、将来性などについて解説をしました。
メタバース市場は今後も急拡大していくことが予想され、各社人材確保が喫緊の課題となっています。そのため、高い年収を提示する企業も多く、メタバースエンジニアへの転職は年収アップのための有効な手段といえるでしょう。
ゲーム、ブロックチェーン、NFTなどのソフト分野からVRなどのハード分野まで事業のすそ野も広いので、幅広い分野で人材が求められています。
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