ゲームシステムの構築に始まり、製品としてリリースされるまでを担当するゲームプログラマーは、数あるプログラマーの中でもとくに人気があります。そんなゲームプログラマーの年収についての特集です。
ゲームプログラマーは年代や雇用形態によって年収に開きがあるのと同時に、同じ年代や雇用形態でも個人によって収入に格差があるのが特徴です。その年収拡散の理由やゲームプログラマーが高収入を稼ぐ方法について詳しく解説します。
これからゲームプログラマーに転職したいエンジニアや、ゲームプログラマーになりたいとお考えの学生の方は、ぜひ参考にしてください。
こちらの記事でゲームプログラマーになる方法、必要なスキル、将来性について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
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ゲームプログラマーの年収は格差大
厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、ゲームプログラマーを含むゲームクリエイターの平均年収は579.8万円です。国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」では、国民全体の平均年収は458万円のため、平均よりはかなり高いといえるでしょう。
ただし、ゲームプログラマーの年収は、下は200万円台から上は1,000万円超までと大きな格差があるのが特徴です。他の業種と同様、年齢や雇用形態(正社員や契約社員など)によって差があるのはもちろんですが、同じ年代や雇用形態の中でも開きがある点は注目に値します。
競争の激しいゲーム業界では、優秀なゲームプログラマーは引く手あまたです。そのため、話題の人気ゲームを開発した実績があれば、さまざまな企業から引き抜きの話がきます。そして転職を繰り返しながら、収入が飛躍的にアップする例が少なくありません。ちなみに、アメリカのゲームエンジニアの平均年収は約1,000万円前後といわれるので、日本とは比較にならないほど高額になります。
ゲームプログラマーの年収格差には大きく4つの理由が挙げられます。
- ゲーム作品の売上規模
- 業界による売上規模の違い(PCゲームか据え置き型ゲームか、など)
- スキルの違い
- 最終学歴の差(中学卒と大学院卒など)
ゲーム作品の売上に左右される
勤務している企業や自身が担当したゲーム作品がヒットすると、それに見合った高い報酬が得られます。基本給が上がるだけでなく、特別賞与が支給されて年収がアップするケースもあります。
逆に、どれだけ懸命に仕事をしても作品がユーザーの支持を得られなければ、収入に反映されることは難しいでしょう。ゲーム業界は、ヒット作とそうでない作品の売上格差が大きいため、プログラマーの年収にも二極化が生じやすいのです。
業界によって売上規模が異なる
自社で開発しているゲームが、どのような業界(プラットフォーム)に属するかによっても年収に違いが出ることがあります。
最近は据え置き型や携帯型ゲーム機などよりも、業務用(アーケード、PC、スマートフォンなどの方が年収は高くなる傾向にあります。スマートフォンゲーム市場が圧倒的な規模を誇り、それに伴ってスマートフォンゲーム開発会社のプログラマーの年収も高くなっているようです。
これからは、VR・ウェアラブル端末用が高収益を生むことが予想されるため、それに伴って年収がアップしています。
スキルの違い
有用性の高い人気のプログラミング言語を高レベルで習得していると年収が高くなることが多いです。
Unity、Unreal Engine、Cocos2d-xなど、人気のゲームエンジンを使いこなせるプログラマーは、高い需要があります。
- Unity:マルチプラットフォーム対応が強みで、モバイルゲームからコンソールゲームまで幅広く使われている。
- Unreal Engine:高度なグラフィックス表現が可能で、大規模なタイトルの開発に適している
- Cocos2d-x:オープンソースのフレームワークで、2Dゲームの開発に特化している。
また、C++、C#、Javaなどの言語に精通し、ゲームの最適化やパフォーマンス改善に長けている人材は、高い評価を受けます。特に、C++は家庭用ゲーム機向けの開発で重要な言語であり、熟練したC++プログラマーの年収は、1,000万円を超えることもあります。
加えて、最近ではAIや機械学習の知識を持つプログラマーも重宝されています。例えば、プロシージャル生成によるゲームワールドの自動生成や、機械学習を活用したNPCの高度な行動制御など、AIを活用することでゲームの面白さを向上させる取り組みが進んでいます。こうした最先端の技術を身につけたプログラマーは、高い年収を得られる傾向にあります。
ゲーム業界は技術革新のスピードが速く、常に新しい開発手法やツールが登場しています。たとえ現時点で高いスキルを持っていても、怠ることなく学習を続け、市場価値を高めていく姿勢が求められます。
こちらの記事でゲームプログラマーの実力を示すためのおすすめ資格について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
最終学歴の差
最終学歴が異なると、とくにスタートから年収に違いが生まれます。とりわけ大学院で修士か博士課程を終了している場合は他の学生よりスキルが高いとみなされるため、20代、30代でも高報酬が得られます。ゲーム業界では、高度な技術力とともに、研究開発能力が求められるケースが増えているためです。
ゲームプログラマーの雇用形態別年収
続いて、ゲームプログラマーの雇用形態別年収について解説しましょう。
正社員
正社員のゲームプログラマーの年収は、450〜600万円前後が主流です。派遣社員と比較するとボーナスや特別手当などが支給されるため、その分、年収が押し上げられると考えてよいでしょう。例えば、「ドラゴンクエスト」シリーズや「ファイナルファンタジー」シリーズを手がける株式会社スクウェア・エニックスでは、中堅プログラマーの平均年収が約800万円に達するといわれています。
また収入のみならず、正社員は派遣社員やフリーランスに比べて簡単に解雇されたり、仕事を失ったりするリスクがない点もかなり有利になります。これは、ゲーム開発の長期プロジェクトに携わる上で重要な要素といえます。その安心感を収入に換算することはできませんが、見過ごせない利点といえるでしょう。
た、社員向けの教育・研修制度や福利厚生も充実している企業が多いため、スキルアップやワークライフバランスの面でもメリットがあります。
派遣社員
派遣社員のゲームプログラマーの年収は、300〜420万円前後が主流です。派遣社員は、プロジェクトごとに契約期間が決まっており、その間は比較的安定した収入を得られる一方で、長期的なキャリア形成が難しいというデメリットがあります。
派遣社員の場合は、プログラマーとしてのスキルが大きくものをいいます。優秀な場合は、正社員の年収を上回る可能性もあります。また、給与は時給計算されることが多いので、就労時間の長短によっても個人差が出てくるでしょう。
派遣社員の場合、複数の企業でさまざまなプロジェクトに携われるため、幅広い経験を積むことができます。これは、ゲームプログラマーとしてのスキルアップにつながる可能性があります。
フリーランス
フリーランスのゲームプログラマーの年収は、500〜1,000万円前後と個人によってかなり開きがあります。月単価に換算すると、40〜80万円前後となります。
フリーランスは、自身の技術力や交渉力によって単価を決定できるため、高い収入を得られる可能性があります。実際に、大手ゲーム会社のプロジェクトを複数こなすトップクラスのフリーランスプログラマーの中には、年収が2,000万円を超える人もいます。
これはスキルや、過去の実績や勤務先による受注先の違いなどが要因となります。信頼が厚ければ、高単価の仕事を得やすくなるでしょう。ただし、フリーランスは自己責任で仕事を獲得し、収入を安定させる必要があるため、常に高いモチベーションと営業力が求められます。また、社会保険や税務処理など、個人事業主としての管理業務も自分で行う必要があります。
ゲームプログラマーの年代別年収
ゲームプログラマーの年収を、開発会社勤務をモデルに20〜50代までの年代別に見ていきましょう。
20代
ゲームプログラマーの20代の年収は、280〜410万円前後と考えられます。個人によってかなり開きがあり、他の職種や業界と比べても大きいのが特徴です。
理由としては、最終学歴の違いが挙げられます。中学や高校卒と比較すると、大学院の修士や博士卒(20代半ば〜後半)は、年収にして100万円前後かそれ以上の開きがある例も少なくありません。
とくにソニー、任天堂やスクエニなどの大手企業になると、大卒で400万円前後、大学院卒となるとそれを上回るケースもあります。ここから評価が上がれば、さらに年収がアップすると期待してよいでしょう。
30代
30代になるとゲームプログラマーとしては中堅になります。開発プロジェクトでも積極的にチームを牽引する役割が求められることが増えてくるでしょう。
年収は、300万円台後半から500万円前後が平均となります。20代ほどではありませんが、30代前半と後半では個人によって100万円近くの開きが出ることもあります。
スキルアップによってしっかりと実績を示せれば、上級の役職への昇格が可能となり、高ければ年収800万円超というケースも見られます。
40代
40代になるとゲーム開発を統括する重要な役割を果たすことが多くなり、年収もそれにともなって400万円台半ばから500万円台半ば前後になるのが一般的です。
プロジェクトマネージャーやディレクターとしての地位を確立し、若手や中堅のプログラマーを育成して開発プロジェクトの進捗を管理、課題発見や問題解決に力を発揮できるようになると、年収800万円超も期待できるでしょう。
50代
50代になると役職が上がり、実績も豊富になるため年収も500万円台半ばから700万円前後になります。優秀な場合は、900万円超も期待できます。
ただしゲーム業界は変化が激しく、次々と新しいトレンドが現れるため、スキルや知識の面でキャッチアップしていかないと台頭する若手プログラマーに仕事を奪われるリスクもあります。そうなると、40代と年収が変わり映えしないというケースもあり得るでしょう。
ゲームプログラマーが高年収を稼ぐ4つの方法
最後に、ゲームプログラマーとして高収入を稼ぐための方法を具体的に紹介しましょう。
- スキルアップする
- 経験と実績を積む
- 独立・起業する
- 高報酬の企業に転職する
スキルアップする
高いスキルを持つゲームプログラマーは、高報酬を得られる傾向にあります。特に重要なスキルは以下の通りです。
- プログラミング言語(C++、C#、Javaなど)の習熟度
- ゲームエンジン(Unity、Unreal Engineなど)の使いこなし
- 3Dグラフィックスやアニメーションの知識
- ネットワークプログラミングやサーバーサイド開発の経験
- AIや機械学習の応用力
- プロジェクトマネジメントや品質管理の手法
- 英語力(グローバル開発で必須)
これらのスキルを磨くには、オンラインコースやワークショップへの参加、技術書や動画教材の活用、社内外のセミナーや勉強会への参加など、自己研鑽が欠かせません。また、オープンソースプロジェクトへの貢献や、個人的なゲーム開発にも積極的に取り組むことで、実践的なスキルを身につけることができるでしょう。
プログラミングスキルに加えて、論理的思考力、コミュニケーション能力、リーダーシップなども重要です。これらを伸ばすことで、プロジェクトリーダーやマネージャーへのキャリアアップが狙えます。
経験と実績を積む
ゲームプログラマーの世界は、経験と実績が大きくものをいいます。そもそも20代のうちは、自分が望む仕事を自由にさせてもらえることはほぼありません。まず与えられた業務を精一杯こなして実績を積むことが大切です。
以下のような地道な努力の積み重ねが、徐々に評価や信頼につながっていきます。
- 担当したプロジェクトの規模や成果を記録しておく
- 開発したゲームやプログラムのサンプルを保管する
- 上司や同僚からのフィードバックを整理し、自己評価に活かす
- 社内外の勉強会や交流会で、自身の経験を共有する
その繰り返しの中で、確実に評価が高まれば、やり甲斐のある仕事を与えられるようになるでしょう。そして、以下のようなチャンスを逃さないようにしましょう。
- 社内の新規プロジェクトへの参加
- 他部門との協業や技術交流
- 外部企業とのジョイントプロジェクト
- 海外拠点でのグローバル開発
自分の実績を効果的にアピールするため、ポートフォリオを充実させておくことも大切です。GitHubアカウントや個人ブログ、Webサイトなどを活用し、自身の成果物や技術的な洞察を公開していきましょう。
多彩な経験が増えれば、開発プロジェクトのリーダーに抜擢されたり、ディレクターになれたりして収入アップにつながります。また好条件での転職のオファーが舞い込むことも珍しくありません。
独立・起業する
ゲームプログラマーとして独立すると、受注案件の報酬はすべて自分のものとなります。実績と評判次第で、単価アップとクライアント拡大が見込めます。クライアントにとっても、企業に依頼するより割安になるケースが多いので有利です。
また、会社を興して事業を拡大する道もあります。ゲーム開発会社を起業し、優秀な人材を集めて魅力的なタイトルを生み出せば、大きな収益を上げることも可能でしょう。ただし、事業運営には様々なリスクが伴うため、慎重な計画と準備が必要です。
独立・起業を成功させるには、高いスキルと実績に加えて、人脈づくりと自己アピールが欠かせません。
- SNSやブログを活用して、自身の専門性をPRする
- ゲーム業界のイベントやカンファレンスに積極的に参加し、人脈を広げる
- フリーランス向けのエージェントやプラットフォームに登録する
- 元請けや協力会社との良好な関係を維持する
- 複数の案件を並行して受注し、収入を安定させる
独立後も、常に新しい技術やトレンドをキャッチアップし、市場価値を高め続けることが重要です。
起業した場合は、仕事が100%自分の実績となり、評判が高まれば単価が上がってクライアントも広がっていきます。クライアントも企業に依頼するよりは割安になるケースが多いため、信頼さえ得られれば高単価な仕事が確実に増えていくと期待してよいでしょう。
高報酬の企業に転職する
現在よりも報酬の高い企業に転職する方法もあります。とくに中小企業に勤めている場合は、規模の大きな企業に移ることによって収入アップが期待できるでしょう。
とりわけ近年ではスマホやPC用のオンラインプラットフォームの成長が著しく、牽引する大手企業の収益は増加しているため、優秀なエンジニアへのニーズはますます高まっています。もちろんそのような企業への転職は簡単ではありません。しかし、スキルを磨き、実績を積めばその可能性は確実に広がるでしょう。
大手企業への転職を実現するには、以下のようなアプローチが有効です。
- 自社製品の開発経験を積み、実績をアピールできるようにする
- 最新のゲームエンジンやプログラミング言語の習得に努める
- グローバル開発や大規模プロジェクトへの参画経験を積む
- 業界の動向を常にチェックし、トレンドを押さえておく
- 転職エージェントや人材紹介サービスを活用する
転職活動では、自身の強みと実績を適切にアピールすることが重要です。ポートフォリオを充実させ、具体的な成果や貢献度を数値化して示せるようにしておきましょう。
また、転職先の企業文化や働き方とのマッチングも大切な視点です。単に高収入を求めるのではなく、自分の価値観やキャリアビジョンに合った企業を見極めることが、長期的な成功につながります。
メタバースエンジニアでよくある質問まとめ
- ゲームプログラマーの年収を上げるには、どのようなスキルアップが効果的ですか?
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ゲームプログラマーの年収を上げるためには、以下のようなスキルアップが効果的です。
- プログラミング言語(C++、C#、Javaなど)の習熟度を高める
- ゲームエンジン(Unity、Unreal Engineなど)の使いこなしを磨く
- 3Dグラフィックスやアニメーションの知識を深める
- ネットワークプログラミングやサーバーサイド開発の経験を積む
- AIや機械学習の応用力を身につける
- プロジェクトマネジメントや品質管理の手法を学ぶ
- 英語力を強化する(グローバル開発で必須)
オンラインコースやワークショップ、技術書や動画教材、社内外のセミナーや勉強会などを活用して習得していくことが大切です。オープンソースプロジェクトへの貢献や個人的なゲーム開発にも取り組むことで、実践的なスキルが身につきます。
- ゲームプログラマーが独立・起業する際に、どのような点に気をつければ良いですか?
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ゲームプログラマーが独立・起業する際は、以下の点に気をつけることが重要です。
- 高いスキルと実績を持ち、市場での競争力を備えること
- SNSやブログを活用して、自身の専門性を積極的にPRすること
- ゲーム業界のイベントやカンファレンスに参加し、人脈を広げること
- フリーランス向けのエージェントやプラットフォームに登録すること
- 元請けや協力会社との良好な関係を維持すること
- 複数の案件を並行して受注し、収入を安定させること
- 常に新しい技術やトレンドをキャッチアップし、市場価値を高め続けること
独立後は、受注案件の報酬がすべて自分のものになる一方で、仕事の獲得や収入の安定化は自己責任となります。そのため、高いモチベーションと営業力、そして柔軟な適応力が求められます。
まとめ
ゲームプログラマーの年収は、年代、雇用形態、最終学歴、そしてスキルなどによってかなり格差があります。
とりわけ経験や実績ははっきりと成果として現れるため、与えられた仕事を確実にこなし、スキル向上に努めると年収アップの可能性が広がるでしょう。また、プログラマーの地位に甘んじず、プロジェクトマネージャーやゲームプランナーといった高みを目指すことにより高報酬を獲得することも可能です。
自分のスキルやシチュエーションに合ったかたちで確実に年収がアップできる方法を見つけてください。リスクを恐れずチャレンジする勇気と、常に学び続ける姿勢を持つことが、ゲームプログラマーとしてのキャリアアップと収入増加の鍵です。
当社では、ゲーム業界で活躍するプログラマーの皆さんを応援しています。独立や転職を検討する際は、ぜひ当社の情報をチェックしてみてください。
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