ITエンジニアは「きつい仕事」というイメージを持つ方も多いようです。ネット上のテック系掲示板でもITエンジニアのきつさを訴えるスレッドを見かけることがあります。
そのような声を聞くと、これからITエンジニアとして働こうと考えている方は、不安になるのではないでしょうか。
本記事では、ITエンジニアがきついと言われている理由やその実態、ITエンジニアに向いている方を解説します。最後までお読みいただければ、ITエンジニアの「きつい」をどのように避けられるかがお分かりいただけます。
こちらの記事でITエンジニアにはどんな分野・種類があるか詳しく解説していますので併せてご覧ください。
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ITエンジニアがきついと思われる7つの理由
ITエンジニアがきついと思われる主な理由は以下です。
- 時間外労働が多い
- 社内で十分な教育が受けられない
- 経験不足だと仕事に時間がかかる
- バグなどの想定外の仕事に時間がかかる
- 常に頭を使う職業である
- 勉強し続けなければならない
- 常駐先でのトラブルがある
それぞれの実態を解説します。
時間外労働が多い
ITエンジニアは、時間外労働が多いと思われている職業です。しかし、実は労働時間は他の職業と大きな差がないことが、情報産業労働組合連合会の調査で明らかになっています。
上記の画像で黒丸の折れ線グラフがITエンジニア、白丸の折れ線グラフは事業所規模5人以上の企業の年間総労働時間です。2015年以前はITエンジニアの総労働時間が長い傾向にありましたが、2016年からはITエンジニアの総労働時間が一般労働者よりも少なくなっています。
ただし、2018年の同調査では、ITエンジニアの中で月100時間以上の残業を経験している方が28.2%いる結果が出ているため、企業によって残業時間に差があるようです。
社内で十分な教育が受けられない
ITエンジニアは人材不足であるため、教育に時間をかけられない企業が多いです。2017年の情報労連の調査では、「教育を受けるものが忙しく時間がない」や「訓練にコストをかける余裕がない」などの理由により教育が十分に行われていないことが分かります。
2019年の同調査では、96.8%のIT企業が「技術者の人材育成」を課題として認識していることが分かっています。
特に経験の浅いITエンジニアからすると、教育が十分に受けられていない状態で仕事をしなければならないため、周りよりも仕事に時間や労力がかかり「きつい」と感じることが多くなります。
経験不足だと仕事に時間がかかる
ITエンジニアは経験によって能力に差が付きやすい職業です。そのため、高い技術を持っている方とそうでない方では、仕事の速さに大きな差が出ます。
特に新入社員や経験の浅いエンジニアは、仕事に慣れるだけでなく、高度なプログラミング技術を習得する必要があります。入社したての頃は、仕事を覚えるのに加え、高いプログラミング技術も身に着けないといけないため、初めの段階では業務に時間がかかり、「きつい」と感じられることが多いようです。
バグなどの想定外の仕事に時間がかかる
ITエンジニアは、システム開発のためのプログラミングが主な業務になります。プログラミングは細かなミスでも思い通りに動作しないことがよくあります。
特にバグの修正は時間を要する作業であり、経験の浅いエンジニアは、修正箇所を見つけ出すのに膨大な時間を使ってしまい、業務時間が周りよりも多くなることがあります。
常に頭を使う職業である
ITエンジニアの仕事は常に頭脳を使うものであり、高い集中力が求められます。業務中は複雑な問題を解決するために論理的思考や分析力が必要とされるでしょう。集中力に欠ける場合、業務の効率や品質に影響を及ぼす可能性があります。
また、頭脳労働によって疲労が蓄積し、プライベートでの趣味や活動に十分な時間を割くことが難しくなることもあります。「仕事終わりには頭を使う趣味に没頭できない」などの悩みがあるエンジニアも多いようです。力仕事のような体力はそれほど必要ありませんが、長時間集中してデスクに向かえる集中力とそれを支える体力は必要になります。
勉強し続けなければならない
IT業界は急速に変化しており、新しい技術やフレームワークが頻繁に登場します。そのため、エンジニアは常に最新の技術に対応できるように常に勉強し続けなくてはなりません。
経験の浅いエンジニアにとっては、仕事で使用する技術を習得したとしてもすぐに新しい技術が登場し、それに対応する必要が生じます。このような状況下では、学ぶことが無限にあるように思ってしまい「きつい」と感じるかもしれません。
常駐先でのトラブルがある
79%のIT企業には客先常駐者がいることが2019年の情報労連の調査によって明らかになっています。この環境では、クライアント先の組織文化や人間関係の問題に直面することがあります。
そのような状況の中、常駐先でのトラブルやストレスが発生すると、精神的な負荷が高まり、「きつい」と感じられる要因となることがあります。
上記のグラフは、2018年に行われた同調査では「特に課題となっていることはない」の割合が12.7%に留まっていることから、何かしらのトラブルや悩みを抱えていることがわかります。
きついと言われるITエンジニアで働く3つのメリット
きついと思われているITエンジニアですが、働くメリットも多くあります。
- 技術力を上げられれば高収入が目指せる
- IT業界は将来性がある
- 転職時に身に着けた技術を活かせる
ここからは、それぞれの詳細について解説していきます。
技術力を上げられれば高収入が目指せる
令和4年度の政府統計「賃金構造基本統計調査」によると、ITエンジニアが属するシステムエンジニアとソフトウェア作成者の平均年収は、それぞれ約730万円、約520万円となっています。同年の平均年収は443万円ですので、ITエンジニアは収入が高い職業と言えるでしょう。
ITエンジニアの技術は、同業界であればどの企業にいても仕事に活かすことができるため、昇級が難しい会社であれば転職することで役職や給与を上げられます。技術力に応じて給与を上げられるのはITエンジニアの大きなメリットと言えるでしょう。
IT業界は将来性がある
AIシステムが一般の方でも利用できるようになったりと、IT業界は急激な進化を遂げています。需要の拡大に伴い、IT業界は人材不足が深刻化すると言われており、現状17万人の不足から2030年には79万人の人材が不足すると予測されています。
AIに仕事が奪われると騒がれていますが、そのAIを構築するのはITエンジニアです。そのため、仕事がなくなり生活できなくなるという事態になることは考えにくい業界です。
転職時に身に着けた技術を活かせる
IT業界の主な業務はプログラミングですが、プログラミングは技術さえ身に着けてしまえばどの企業でも仕事に活かすことができます。転職してもこれまでの技術を活かせるため、学習したことが無駄になることは少ないです。
また、個人事業主としてフリーランスのように働くことも可能です。リモートで業務ができるため、自由な働き方も選択できます。
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ITエンジニアの「きつい」打開策
ITエンジニアは、能力や職場環境によって「きつい」と感じてしまうことがあります。ここでは、それぞれの打開策を4つ解説します。
スキルが足りないなら技術力を上げる
ITエンジニアとしてのスキルが足りなければ、周囲より仕事に時間がかかり、完成度も低くなってしまいます。周囲よりもスキルが足りないと感じているならば、職場で仕事を覚える以外にも、独学やプログラミングスクールでスキルを磨くようにしましょう。
プロジェクトや実務経験を積むためのインターンシップやボランティア活動に参加することも検討できるでしょう。持っているスキルを生かせる副業をして、幅広いスキルを培って人脈を広げるのもよい選択です。
こちらの記事でITエンジニアのおすすめ副業のタイプ、賢い探し方について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
プログラミング未経験なら教育が受けられる会社に就職する
プログラミング未経験でITエンジニアに就職した場合、初めから実務に取り掛かるのはほぼ不可能と言えるでしょう。プログラミング未経験の方が研修を満足に行えていない企業に就職した場合、必要なスキルを身に着けるまでにかなりの時間がかかります。
プログラミングに自信がない方は、教育をしっかり行っている企業に就職すると、きついと感じることを減らせるでしょう。研修制度や教育プログラムが充実している企業やメンタリングやコーチングの制度がある企業を選びましょう。
労働環境が悪いなら交渉や転職を考える
労働環境の良い職場で働きたいのであれば、企業選びが非常に重要です。既に長時間労働や給与の低さで悩んでいる方は、転職を考えても良いでしょう。
上司や人事部とのコミュニケーションを積極的に行い、改善を提案することも重要です。
「労働環境で悩んでいるが今の企業で働きたい」と考えているのであれば、一度転職活動をしてみて自分の市場価値を確認するのも一つの手です。転職活動をしてより良い条件で働けそうであれば、それを持ち込んで現在の会社と交渉できます。
完全未経験を脱してから就職する
ITエンジニアの主な業務はプログラミングです。プログラミング未経験でもITエンジニアを目指す方はいます。しかし、プログラミングの習得には大きな労力と時間を費やさなければならないため、完全未経験であれば入社後にかなりきつい思いをするでしょう。
プログラミング未経験の方は、プログラミングスクールや独学で実績を積んでから就職するようにしましょう。短期集中型の教育プログラムに参加し、実践的なスキルを磨くことも可能です。ポートフォリオを作成して、自身の実力をアピールできるようにしましょう。
また、ITエンジニア志望者がより具体的な情報を得るためには、以下のような手段も活用できます:
- 現役のITエンジニアへのインタビューやアドバイスの収集。
- IT系のコミュニティやオンラインフォーラムへの参加。
- 関連する業界イベントやセミナーへの参加。
これらの情報収集の過程で、実際のエンジニア経験や成功事例を知ることができ、より具体的な打開策を見つけることができるでしょう。
ITエンジニアに向いている方の特徴
ITエンジニアに向いている方の特徴は以下の3つです。
- 学ぶことが好きである
- デスクワークが苦でない
- 集中力がある
ここの特徴に当てはまる方は、ITエンジニアが向いていると言えます。ここでは、その理由を解説します。
学ぶことが好きである
IT業界は現在も急激な進化を遂げているため、次々と新たな技術が入ってきます。それらも身に着けていかなければ、周りと能力の差がつき、仕事の質が悪化するため、自ら最新情報を学びにいく必要があります。
学ぶことが好きな方は、知識をつけて周りと差を付けられるため、ITエンジニアに向いていると言えます。
デスクワークが苦でない
ITエンジニアは、基本的にモニターに向かって仕事をします。そのため、黙々と仕事をすることが苦でない方に向いている職業と言えます。
高い集中力が必要となりますが、デスクワークに苦手意識がない方には向いている職業と言えます。
集中力がある
ITエンジニアは常に頭を使う職業であるため、高い集中力が必要です。また、長時間座ったまま仕事をするため、座ったままの仕事がきついという方には向いていません。
逆に、学生の頃に周りよりも集中して勉強できていた方や、集中しての作業に慣れている方にとっては向いている職業と言えます。
もし当てはまるのであれば、ITエンジニアに挑戦してみてはいかがでしょうか。
ITエンジニアでよくある質問まとめ
- ITエンジニアがきついと思われる理由は?
-
ITエンジニアがきついと思われる理由は、主に以下の7つあります。
- 時間外労働が多い
- 社内で十分な教育が受けられない
- 経験不足だと仕事に時間がかかる
- バグなどの想定外の仕事に時間がかかる
- 常に頭を使う職業である
- 勉強し続けなければならない
- 常駐先でのトラブルがある
詳しくはこちらにジャンプ。
- ITエンジニアで働くメリットは?
-
ITエンジニアで働くメリットは以下があります。
- 技術力を上げられれば高収入が目指せる
- IT業界は将来性がある
- 転職時に身に着けた技術を活かせる
詳しくはこちらにジャンプ。
まとめ|企業選びで「きつい」は避けられる
本記事では、ITエンジニアがきついと思われている理由や打開策を解説してきました。もし、ご自身の能力の問題で「きつい」と感じているのであればスキルを磨きましょう。自分では解決できない問題で「きつい」と感じているのであれば転職活動を考えてみてはいかがでしょうか。
特に、転職活動をすると、ご自身の市場価値を確認できるため、会社の言いなりになることを避けられます。待遇の面で、対等な立場で交渉をしたいと考えている方は、転職サイトを眺めて他企業の相場を確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。
Tech Forwardに登録されているAI・Web3分野の最新求人一覧を以下からご覧ください。
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